<社説>25年度県政運営方針 平和行政を施策の中心に - 琉球新報デジタル
玉城デニー知事は12日に開会した県議会2月定例会の冒頭で、2025年度の県政運営方針を発表した。戦後80年の節目を迎え、各種の平和祈念事業を通して、平和を希求する「沖縄のこころ」の発信と継承に取り組むことに力点が置かれている。
住民の4人に1人が亡くなる地上戦を経験した沖縄で、県民が願う平和で豊かな社会の実現は歴代県政の共通目標だった。しかし、戦後80年の現在、有事を前提にした南西諸島の要塞(ようさい)化が進められ、沖縄が再び戦場となりかねない危機的な状況がある。玉城知事は県政運営方針で戦後80年に関連した具体的な施策として「恒久平和に向けたビジョン(仮称)」の策定を表明したほか、平和祈念資料館のリニューアル、「平和の礎」の発信力強化、「物言わぬ語り部」として第32軍司令部壕の保存・公開に向けた取り組みなどを列挙した。 戦争を直接体験した世代は少なくなってきている。24年1月現在で沖縄県内の80歳以上の人数は10万9945人で、全人口(146万770人)に占める割合は7・5%だ。その中でも沖縄戦の記憶があり、証言ができる人はさらに限られる。
家庭で戦争の話を語り聞く機会を持つことが難しくなる中で、沖縄戦の実相や教訓を正しく継承していくために、行政や教育機関が担う役割は重要性を増している。体験者から沖縄戦の記憶を受け継いだ次の世代による新たな継承を確立する上で、県が25年度に実施する平和祈念事業の持つ意義は大きい。全庁挙げて取り組んでほしい。 経済振興、県民所得向上による貧困の撲滅、環境保護といった県政の重要課題も、基地問題や平和行政と無関係ではない。沖縄の抱える諸問題の多くが、不十分な戦後処理や戦後の経済復興に取り残されたことに起因し、今も広大な軍事基地が居座り続けることによる弊害とも深く結び付いているためだ。玉城知事が県独自の「地域外交」を掲げ、アジア・太平洋地域の平和構築と相互発展に積極的な役割を果たしていく決意を県政運営方針に盛り込んだことを評価したい。対話によって紛争を回避する沖縄の立場を、国内外に発信していくことは重要だ。
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