『髙田賢三 夢をかける』展示風景。フォークロア調の作品を1980年代を中心に展示している。日本を代表するファッションデザイナーとして活躍し、「KENZO」の創設者である髙田賢三(1939〜2020年)...
日本を代表するファッションデザイナーとして活躍し、「KENZO」の創設者である髙田賢三(1939〜2020年)。2020年に惜しまれつつ逝去した髙田の没後初の大規模個展となる『髙田賢三 夢をかける』が、東京オペラシティ アートギャラリーにて開かれている。本記事では、展示の見どころを紹介したい。兵庫県に生まれ、東京の文化服装学院を卒業後、単身でパリへ移住。1970年に自らのブランド「JUNGLE...
今回の個展ではファッションの変遷を数多くの衣装でたどりながら、幼少期から描いていた絵画やアイデアの源泉となった資料、衣装のデザイン画などを紹介し、髙田の生涯にわたる創作活動を回顧している。若手デザイナーの登竜門である「装苑賞」(第8回)を受賞した作品や「日本のきれ」を使った初期の作品、またペザント・ルックやミリタリー・ルック、さらにフォークロア作品など、1970年代から1980年代のオールド・ケンゾーのコレクションが充実しているのも特徴だ。美しい花の刺繍を特徴とする本作。「ジプシー」をテーマのひとつとした1994年春夏コレクションにて発表されたもので、スペインのフラメンコで伝統的に用いられるショール「マントン・デ・マニラ」をインスピレーションの源としている。
民族や民間伝承を示す言葉で、ファッションにおいては主に民族衣装にイメージを求めた「フォークロア」に注目したい。ファッションに多様性と新たな価値観が求められていた1970年代、フォークロアがムーブメントとなると、髙田は四角い平面と無駄なく使える直線裁ちが民族衣装の共通項であるとして、多くの作品に取り入れていく。それは衣服を通じてボーダーレスやジェンダーレスの思想を体現したと言われ、かつての西欧中心の文化にとらわれない新たな衣服として人々に愛された。髙田の人生を年表形式で追いかける、「タイムラインでたどる髙田賢三の人生」も見逃せない。そこでは1964年、当時25歳の髙田が東京オリンピックに伴う再開発のため、アパートの立退料として家賃10ヶ月分を受け取ってフランス行きを決めたことなど、さまざまなエピソードが披露され、髙田の人物像も浮き彫りになっている。このほか髙田の代表作のひとつとされ、約20年間にわたって集めたリボンを使って制作したマリエ(ウエディングドレス)も見ておきたい作品だ。髙田の代表作のひとつとされるマリエ。ピンクの薄い生地に20種類以上の花柄のリボンを縫い合わせて作られている。K
集大成となった「KENZO」ブランドでの最後のショー「KENZO 30ans(トランタン)」(1999年)の映像フィルムをデジタル化し、ダイジェストで紹介する映像も必見の内容だ。カラフルな色がぶつかり合い、時に華やかな花柄の広がる髙田の衣装を見ていると多幸感に包まれる。「KENZO」ブランドから一歩踏み込み、髙田本人に焦点を当てた本展にて、知っているようで意外と知らない髙田賢三の創作活動の軌跡を追っていきたい。
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