自民党総裁選には10人超が出馬の意欲を示している。多くの派閥が解消を決めたが、これまでの選挙戦と違いはあるのか。
政治資金問題で派閥が解消される前、自民党内には「安倍派」「麻生派」「岸田派」「茂木派」「二階派」と5大派閥があった。過去にも5大派閥はあったが、それは中選挙区で最大5人まで当選可能だったことの名残だ。実は、中選挙区でも自民党で5議席を独占するのは難しかった。そこで4議席の当選者を出すためには「各選挙区の定数プラス1」の5派閥しか存続できなかったというのは、数理政治学の「デュヴェルジェの法則」から説明できた。
従来の5大派閥であれば、どのように合従連衡するかで総裁選を説明することができた。総裁選は、基本的には国会議員票と党員票で決まるが、1回目の投票で過半数を取る候補がいなければ、1位と2位で決選投票が行われる。その場合、国会議員票で事実上決まるので、過半数を取るには、まとまった票数を持つ派閥がどれだけ支援するかが決め手となるからだ。 しかし、今は麻生派を除き、名目上、派閥はない。麻生派だけは解散していないので、まとまりは一番強固だと思われる。そして、岸田派も総裁派閥だったのでそれなりに強く、しかも、麻生派と合わせて「大宏池会」になるかもしれない。二階派はもともと強固な組織ではなく、小林鷹之前経済安保相のように若手に支持者を絞って独自の行動をする人も多いだろう。かつての最大派閥だった安倍派は、核になる人物が政治資金問題で身動きが取れないことから、各候補者の草刈り場になるかもしれない。次に政策だ。「内政」と「外交」に分けられるが、筆者の独断と偏見では、内政で重要なのは、財務省との距離感だ。財務省ベッタリであると、間違った財政状況の認識によって予算制約の問題に陥りがちだ。
日銀との関係も重要だ。中央銀行には「手段の独立性」があるので、日々のオペレーションや具体的な利下げや利上げの指示はできないが、大きな目標としてインフレ目標を守ってもらう必要がある。日銀の7月末の利上げはインフレ目標を無視した暴挙であり、政府としては看過してはいけない。この利上げを容認するような総裁候補の評価は低い。 外交でのポイントは対米関係だ。大統領選で勝つのが共和党のドナルド・トランプ前大統領でも民主党のカマラ・ハリス副大統領でもうまく対応できるかどうか。対米関係さえうまくいけば、あとの外交は、どの程度米国に追随するかを見極めればよく、比較的容易になる。
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