小林製薬(大阪市)の紅こうじを使った機能性表示食品のサプリメントを摂取した人から、腎疾患など健康被害の報告が相次いでいる。摂取との関連が疑われる2人の死亡が確認され、摂取後に入院した人も100人を超…
小林製薬(大阪市)の紅こうじを使った機能性表示食品のサプリメントを摂取した人から、腎疾患など健康被害の報告が相次いでいる。摂取との関連が疑われる2人の死亡が確認され、摂取後に入院した人も100人を超えた。大阪市は、既に自主回収の対象となっている3製品の回収命令を出した。
同社はカビ由来の成分が原因となった可能性があるとするが、特定できていない。紅こうじは伝統的な食品で、着色料としても広く使われており、過度な不安や風評被害が広がる恐れもある。原因を特定し、再発防止策を講じることが急がれる。同社の紅こうじは食品原料としても52社に供給されており、製品の自主回収の動きが各社にも広がっている。52社には卸売業者も含まれ、実際に使っていた事業者はさらに多い。消費者も手元に回収対象の商品がないか確認する必要がある。当初、同社は紅こうじに由来する有毒物質「シトリニン」の存在を疑ったが、検出されなかった。原因究明ができないまま、今月22日になってようやく健康被害の報告があったことを公表した。公表が遅れた理由について、小林章浩社長は会見で「当該の商品が原因となっているか分からず、判断ができなかった」と説明した。そうだとしても速やかに行政に相談するなど、消費者の安全を第一に対応すべきではなかったか。
機能性表示食品は、安全性や機能性に関する科学的な根拠を国に届け出て、事業者の責任で体への効能を表示した食品。紅こうじサプリも、コレステロール値を低下させる効果が期待できるなどとうたっていた。特定保健用食品(トクホ)とは異なり、国が審査して安全や機能を認めたものではないが、健康の維持や増進のために継続的に機能性表示食品を摂取している人は少なくないだろう。 健康被害を理由に機能性表示食品が回収されるのは、15年の制度開始以来初めて。消費者庁は全国から届け出がある全6千件超について、健康被害が生じていないか緊急点検する方針を示している。今回の問題を踏まえ、より安全性の高い制度づくりが求められる。
日本 最新ニュース, 日本 見出し
Similar News:他のニュース ソースから収集した、これに似たニュース記事を読むこともできます。
社説:株価最高値更新 生活向上の実感乏しい東京株式市場の日経平均株価が、バブル期につけた史上最高値を約34年ぶりに更新した。ただ足元では景気の柱である消費の不振が続いており、株価が日本経済の実態を反映しているかは定かではない。経済成長が確か…
続きを読む »
社説:首相の政倫審出席 政治不信は増すばかり自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた衆院政治倫理審査会が29日始まった。党総裁の岸田文雄首相が、現職首相として初めて出席。安倍派で2022年にいったん中止したパーティー収入の議員への還流を…
続きを読む »
[社説]ミャンマーの徴兵制は非道だミャンマー国軍が一般国民を対象に徴兵制を導入した。民主派や少数民族の反軍勢力との武力衝突で劣勢に陥っており、兵員を補充して体制を立て直す狙いだ。3年前のクーデター以降、強権支配に耐え、生活を営んできた市民の間には動揺が広がる。自国民同士を戦わせる非道な政策を、国軍は実行に移すべきではない。2月10日に突如として「国民兵役法」を施行した。旧軍事政権の末期の2010年に制定したものの発効は見送っ
続きを読む »
社説:相続登記義務化 一層の周知求められる相続不動産の登記義務化が4月1日に始まる。不動産を相続で取得したことを知ってから3年以内に登記しなければ、10万円以下の過料を科される可能性がある。土地の所有者が分からず、災害復旧や公共事業の妨げに…
続きを読む »
[社説]パキスタンは分断の修復をパキスタンの下院が3日、新首相にシャバズ・シャリフ前首相を選出した。選挙管理内閣を挟み、事実上続投する。2月8日の総選挙では政敵のカーン元首相の支持派が最大勢力となった。シャリフ氏の居座りに強く反発しており、国内の分断は一層深まった。パキスタンはインドや中国、イラン、アフガニスタンと国境を接し、地政学的に重要な国だ。世界5位の人口2億3千万人を抱える核保有国の内政の混乱は、国際社会のリスク要因
続きを読む »
社説:婚姻50万組割れ 希望かなえる支援急げ厚生労働省の人口動態統計の速報値で、2023年の婚姻数が48万9281組となり、前年から約3万組、5・9%減った。50万組を割ったのは90年ぶりで、ピークだった1972年の約110万組の半数以下とな…
続きを読む »