太平洋戦争で犠牲になった兵士らの情報を記載した戦死者名簿について、県が昨年１１月に一般公開を取りやめていたことが本紙の取材で分かった。戦死者を調べるために県に情報公開請求したところ、氏名などが伏せら…
戦争体験を証言できる人は高齢化している。あの戦争と向き合う上で、当時を知る手がかりとして記録・資料の重要性が一層増している。名簿に記載されている情報から、それぞれの兵士の足跡を読み解くことができ、歴史検証に欠かせない資料と言えよう。
本紙は昨年１１～１２月に各都道府県の戦死者名簿の保管や公開状況を調査した。県はそれを機に、県公文書館が名簿を一般公開していたことを把握したという。県は業務で使用している資料であり、本来は公開対象ではなかったとして非公開とした。情報公開請求に対しては、特定の個人を識別できる情報が含まれているとして氏名などを開示しなかった。資料は厚労省が全国の戦死者の遺族や戦傷病者への援護年金の支給などに用いてきた。だが貴重な歴史資料として広く研究者らが利用できるよう、後代に引き継ぐことが必要と判断したという。移管された名簿は閲覧可能となり現在、歴史検証にも活用されている。ただ、各都道府県庁は管理下にある戦死者名簿を非公開としている。京都府の公文書館では、名簿の移管を受けて公開対象としているものの、事例としてはまだ少数だ。茨城県は名簿を製本し、図書館で一般の人が閲覧できるようにしており、極めて珍しい。
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