県は秋田港にクルーズ船が寄港した際、秋田港駅―秋田駅間で運行している「クルーズ列車」（８・９キロ）について、２０２５年度末で廃止すると明らかにした。運行継続にはＪＲ貨物の線路などを取得して管理する必…
県は秋田港にクルーズ船が寄港した際、秋田港駅―秋田駅間で運行している「クルーズ列車」（８・９キロ）について、２０２５年度末で廃止すると明らかにした。運行継続にはＪＲ貨物の線路などを取得して管理する必要があるが、多額の費用を要することから困難と判断した。秋田港へのクルーズ船寄港はコロナ禍以降に確実に増えており、今年は最多の３４回に上る見通しだ。寄港による経済効果を最大限引き出すためには、観光や買い物をするクルーズ船客の移動手段を十分確保しておくことが必要である。クルーズ列車の廃止後も市中心部への人の流れをこれまで通り維持できるよう、官民でバスなどの代替アクセスの充実を図るべきだ。
クルーズ列車は１７年、県と秋田市、ＪＲ東日本秋田支社が共同運行してスタート。秋田港駅―土崎駅間の１・８キロはＪＲ貨物の線路を活用している。同社はこの区間での貨物輸送を２０年度で終了しており、クルーズ列車運行のため線路維持の協力ができるのは２５年度までとしていた。 運行を継続するには、ＪＲ貨物からの線路取得などの初期投資に約８億円、年間の維持管理には約７千万円が必要だという。ＪＲ貨物の既存線路を旅客用に使わせてもらい、コストを抑えて運行している列車である。新たに多額の費用がかかる状況となれば運行断念もやむを得ないだろう。このほか、新たな取り組みとして土崎駅までのシャトルバスを走らせる船会社に対し、費用の一部を助成する方針。クルーズ列車廃止後は土崎駅が秋田港から最寄りの駅となる。土崎駅からの鉄路利用も視野に入れ、多様な観光メニューを提案してほしい。
下船後にできるだけ待ち時間が少ない輸送体制を構築することが必要だ。運転手不足に直面しているバス会社も少なくない。タクシー業界では一般ドライバーが自家用車などで客を運ぶ「日本版ライドシェア」の試みを始めている。クルーズ船客への活用を検討してはどうだろう。
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