常総学院・島田直也監督 今わかる木内さんの偉大さ「到底追いつけないよ」 高校野球 kokoyakyu 常総学院 島田直也 木内幸男
この夏を振り返り「やってくれると信じた采配が夏をだめにした。でも、その時は何を言われようが、これでいいと思ったんですが」と今なお、悔しそうな表情を浮かべる。県大会決勝戦。先発は背番号10の秋本璃空投手だった。 秋本は昨秋のエース。大川との2枚看板でチームをセンバツに導いた。だが、センバツ前に不調に陥り、大会後は大川を「1」、秋本を「10」に変更し、復調を見守った。島田監督も同じ投手だったからか「復調して欲しい」という思いが特別だった。マンツーマンで指導し、夏は一戦ごとに力強い内角直球が戻った。 迎えた決勝戦。先発を秋本に託した。しかし、コースを狙い過ぎ、初回に3失点。2回から立ち直り、5回途中から登板した大川も無失点に抑えたが、甲子園を逃した。周囲からは批判の声も上がったが、子どもの将来を考え、秋本を「エース失格」のレッテルを貼ったままで終わらせたくない。チャンスを与えるタイミングの難しさを知った。 今、現役時代の指導が頭をよぎる。横浜でリリーフ投手を務めていた時のことだ。当時の権藤博コーチが言った。「リリーフ投手は打たれて使わなかったら、それで終わる。翌日、挽回できる」。その言葉を意気に感じ「今日がだめでも明日。よし、やってやろう」と前を向き、97年に最優秀中継ぎ投手を獲得した。「挽回のチャンスを与える。俺にはその感覚が残っているのかもしれない。今日だめでも、明日はきっと何かやってくれるだろう…と」。しかし、アマチュア野球は違う。一発勝負のトーナメント。今日がだめなら明日はない。「その時いいやつを使わなければ…。俺はアマチュアの指導者になりきれていない。まだ勉強が足りていないんだよね」。 新チームの船出も厳しかった。秋季県大会初戦で水戸葵陵の技巧派投手に苦戦し、2-3で敗れた。夏までのチームと比べ、機動力はあるが、打力は劣る。「先輩たちと同じことをやっていては勝てないよ」と言い続けたが、まねが続く。「言いすぎて、萎縮しているのかな」。声かけ、力の引き出し方に起用法、悩みながら選手と向き合う。今も県内では「元プロの指導者」「勝って当たり前」の視線を感じる。県大会ではバントミスひとつにも、スタンドからため息が聞こえる。「『あの常総が?』と言われているような気がするんですよね」。すべて受け入れた上での監督就任。「今は木内さんの偉大さがわかりすぎる。選手にあった指導、起用で勝たせていた。到底、追いつけないよ」。恩師は就任27年目、54歳で夏の甲子園優勝を果たした。「俺はまだ2年目。勉強しろっていうことですね」。島田直也は、監督人生の扉をまだ開けたばかりだ。【保坂淑子】◆島田直也(しまだ・なおや)1970年(昭45)3月17日、千葉県柏市生まれ。常総学院から87年ドラフト外で日本ハム入団。大洋、ヤクルト、近鉄をへて03年引退。通算419試合39勝38敗。97年に最優秀中継ぎ投手。引退後は独立リーグの指導者を歴任。15~17年はDeNA2軍投手コーチ。.
この夏を振り返り「やってくれると信じた采配が夏をだめにした。でも、その時は何を言われようが、これでいいと思ったんですが」と今なお、悔しそうな表情を浮かべる。県大会決勝戦。先発は背番号10の秋本璃空投手だった。 秋本は昨秋のエース。大川との2枚看板でチームをセンバツに導いた。だが、センバツ前に不調に陥り、大会後は大川を「1」、秋本を「10」に変更し、復調を見守った。島田監督も同じ投手だったからか「復調して欲しい」という思いが特別だった。マンツーマンで指導し、夏は一戦ごとに力強い内角直球が戻った。 迎えた決勝戦。先発を秋本に託した。しかし、コースを狙い過ぎ、初回に3失点。2回から立ち直り、5回途中から登板した大川も無失点に抑えたが、甲子園を逃した。周囲からは批判の声も上がったが、子どもの将来を考え、秋本を「エース失格」のレッテルを貼ったままで終わらせたくない。チャンスを与えるタイミングの難しさを知った。 今、現役時代の指導が頭をよぎる。横浜でリリーフ投手を務めていた時のことだ。当時の権藤博コーチが言った。「リリーフ投手は打たれて使わなかったら、それで終わる。翌日、挽回できる」。その言葉を意気に感じ「今日がだめでも明日。よし、やってやろう」と前を向き、97年に最優秀中継ぎ投手を獲得した。「挽回のチャンスを与える。俺にはその感覚が残っているのかもしれない。今日だめでも、明日はきっと何かやってくれるだろう…と」。しかし、アマチュア野球は違う。一発勝負のトーナメント。今日がだめなら明日はない。「その時いいやつを使わなければ…。俺はアマチュアの指導者になりきれていない。まだ勉強が足りていないんだよね」。 新チームの船出も厳しかった。秋季県大会初戦で水戸葵陵の技巧派投手に苦戦し、2-3で敗れた。夏までのチームと比べ、機動力はあるが、打力は劣る。「先輩たちと同じことをやっていては勝てないよ」と言い続けたが、まねが続く。「言いすぎて、萎縮しているのかな」。声かけ、力の引き出し方に起用法、悩みながら選手と向き合う。今も県内では「元プロの指導者」「勝って当たり前」の視線を感じる。県大会ではバントミスひとつにも、スタンドからため息が聞こえる。「『あの常総が?』と言われているような気がするんですよね」。すべて受け入れた上での監督就任。「今は木内さんの偉大さがわかりすぎる。選手にあった指導、起用で勝たせていた。到底、追いつけないよ」。恩師は就任27年目、54歳で夏の甲子園優勝を果たした。「俺はまだ2年目。勉強しろっていうことですね」。島田直也は、監督人生の扉をまだ開けたばかりだ。【保坂淑子】◆島田直也(しまだ・なおや)1970年(昭45)3月17日、千葉県柏市生まれ。常総学院から87年ドラフト外で日本ハム入団。大洋、ヤクルト、近鉄をへて03年引退。通算419試合39勝38敗。97年に最優秀中継ぎ投手。引退後は独立リーグの指導者を歴任。15~17年はDeNA2軍投手コーチ。
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