9月の自民党総裁選は、岸田文雄首相(党総裁)の後継候補として10人以上の名が挙がり、情勢は混沌(こんとん)としている。「政治とカネ」の問題を受け、自民に対する…
岸田首相は14日に自民党総裁選への不出馬を表明したが、日本の来し方を考えれば、終戦の日である15日の戦没者追悼式は静かに終えてほしかった。岸田政権は政策的に大きな失敗はなかったと思う。相対的に落ちている米国の力を補完し、集団的自衛権の維持を目指す安倍晋三元首相の路線を完成させた。円安による消費者物価高騰などの結果だが、賃上げ機運も出てきた。ただ世論を気にしすぎて政策の基本がぶれたり、党内の合意形成への配慮が不十分だったのは残念だ。去る者の言葉は美しく響くが、党内不祥事の責任を組織の長(党総裁)としてとる気持ちがあるのなら、4月の衆院補選や7月の都議補選の前に吐露していたらどうだったろうか。
選挙は本来、候補者の日常活動の積み重ねで戦うものだが、党首が誰なのかに影響されるのも現実だ。中選挙区時代に比べ候補者がひ弱になった。党が変わったことを示すため、総裁選では当選回数の少ない若い議員や女性議員も出てくるかもしれない。ただ、現状では総裁を目指すことはすなわち、首相を目指すことだ。国民の関心を引く個別政策より、日本国をどうするか大きなビジョンや構想を国民に示し、「一緒にやりたい」という共感を得られる人に総裁になってもらいたい。 一人では政権運営はできないので、外交や経済再生、国民の意識改革といった自身のビジョンに向けて、老・壮・青のチームが組める人間的な魅力、人脈、包容力がないと難しいだろう。かつて米国のケネディ大統領は「国民が国に対し何ができるかを考えよう」と支持を訴え、共感を得た。必要なのはこの気概だ。世論におもねった発言は選挙にはともかく、政府の責任者としてはどうだろうか。
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