9月の自民党総裁選は、「政治とカネ」の問題に由来する派閥解消に伴い「派閥なき総裁選」となる。熾烈(しれつ)な権力闘争を繰り広げてきた過去の総裁選を振り返りつつ…
昭和30年の保守合同によって誕生した自民党で、総裁選が初めて行われたのは翌31年4月5日のことだった。地方の党組織の確立を急いだ時期で、国会議員に地方代議員を加えた選挙となった。当初は旧民主党の鳩山一郎と旧自由党の緒方竹虎との争いとみられていたが、1月に緒方が急死。有力な対抗馬がいなくなり、鳩山が圧勝した。鳩山が同年11月に退陣を表明すると、後継を岸信介、石橋湛山、石井光次郎の三者が争った。それぞれ党内での勢力、人気が伯仲しており、初の本格的な総裁選と位置づけられている。投票によるしこりを避けるため、長老による話し合いでの決着が模索されたが、実現しなかった。
総裁選では現金やポストの空手形が飛び交ったといわれ、当時の産経時事(現産経新聞)は「岸派のグランド・ホテル、石橋派の日活会館、石井派のプリンス・ホテルの事務所ではそれぞれおそくまで参謀会議が開かれた」と報じていた。 主流派の岸と非主流派の石橋、石井という構図となった総裁選は同年12月14日に行われ、第1回投票で1位岸、2位石橋、3位石井となったが、岸は過半数を獲得できなかった。党則により岸、石橋の間で決選投票が行われ、2位・3位連合を結成した石橋が258票を獲得し、251票の岸に7票差で勝利した。 今年9月の総裁選に関し、岸田文雄内閣の支持率低迷を受け、多くの候補者による論戦を通じ党勢回復を図るべきだとの意見がある。候補者が乱立すれば決選投票にもつれこむ公算が大きいだけに、閣僚経験者は「派閥は解消したが、決選投票ではまとまって行動したい」と話している。党の黎明(れいめい)期と同様、決選投票での合従連衡が焦点となりそうだ。日米安全保障条約改定を成し遂げた岸は35年6月、退陣を表明した。「ポスト岸」を巡る争いは、官僚出身の池田勇人と、党人派の支持を集めた石井を中心に複数候補が立候補の意志を示す乱戦となった。サンケイ新聞(現産経新聞)は「党内の派閥抗争は頂点に達した。総裁公選には金がかかる-という世間の非難が強くでたのもこのときだ」と振り返る。このときは、池田が決選投票で石井に勝利した。
産経 サンケイ 新聞 ニュース 速報 政治 経済 社会 国際 スポーツ エンタメ
日本 最新ニュース, 日本 見出し
Similar News:他のニュース ソースから収集した、これに似たニュース記事を読むこともできます。
小沢、野田両氏接近にため息 風を読む 論説副委員長・坂井広志9月の自民党総裁選は、麻生太郎副総裁と菅義偉前首相を軸とした権力闘争の様相を呈し、重鎮の存在感が際立っている。
続きを読む »
「脱派閥」占う9月の自民総裁選 「解消」と言うけれど…9月の自民党総裁選は「脱派閥」が徹底されるのか否かが焦点となる。派閥のパーティー収入不記載事件を受けて党内6派閥のうち5つが解散を決めたものの、総裁選の対応で…
続きを読む »
「脱派閥」占う9月の自民総裁選 「解消」と言うけれど…9月の自民党総裁選は「脱派閥」が徹底されるのか否かが焦点となる。派閥のパーティー収入不記載事件を受けて党内6派閥のうち5つが解散を決めたものの、総裁選の対応では...
続きを読む »
川崎春花 2戦連続V 歓喜のツアー新記録28アンダー「記録に名前が残る。凄くうれしい」熾烈(しれつ)なバーディー合戦を川崎がツアー新記録で制した。2戦連続優勝と合わせた二重の喜びに「記録に名前が残る。凄くうれしい」と目を輝かせた。勝利をもたら… - スポーツニッポン新聞社の公式サイト(www.sponichi.co.jp)。
続きを読む »
菅前首相と麻生副総裁、自民総裁選は首相経験者2人によるキングメーカー争いの様相9月の自民党総裁選は、菅義偉前首相と麻生太郎副総裁という首相経験者2人のキングメーカー争いの様相を呈している。岸田文雄首相(自民総裁)と距離を置く「非主流派」…
続きを読む »
退職するならボーナス返して、ヘッジファンドが人材維持で新たな戦略熾烈(しれつ)な人材争奪戦が展開するヘッジファンド業界で、約40億ドル(約6400億円)を運用する英アイスラー・キャピタルはトレーダーの弱みに付け込む戦略に出た。辞めるならボーナスを返すという条件だ。
続きを読む »