記者(57)の母(84)が認知症と診断されたのは5年ほど前です。症状は予想を超える早さで進みました。札幌市西区の一軒家で父(87)の介護を受けながらの2人暮らしは難しくなりました。今は市内の介護老人保...
記者(57)の母(84)が認知症と診断されたのは5年ほど前です。症状は予想を超える早さで進みました。札幌市西区の一軒家で父(87)の介護を受けながらの2人暮らしは難しくなりました。今は市内の介護老人保健施設で生活しています。母の心身の変化や家族の葛藤、時々のさまざまな失敗が読者にも将来、役立つのではないかとの思いから、記者が自らの体験を毎月1回、振り返っています。今回は、介護認定を受けて1年5カ月後、ようやくデイサービスに通い始めることになったいきさつを紹介します。(くらし報道部デジタル委員 升田一憲)
<前回のあらすじ>2021年11月、父は自家用車で1人、帰宅する途中、物損事故を起こした。けがはなかったが、介護疲れの影響なのか、注意力が散漫になっていた。一方、母は私の電話の声を理解できないほど症状が進んでいた。2021年当時、私は実家に週1、2回行き、父母の様子を見守った。一方、父は母と四六時中一緒のため、気が休まることがなかった。特に新型コロナウイルスの感染拡大の影響で自宅で過ごすことが多く、ストレスを発散させるのも難しかった。腰や膝の痛みが悪化し、唯一の楽しみだったゴルフには行けなくなった。気晴らしといえば、庭いじり程度だった。母が粗相をたびたびするようになって負担が増えた。父は、母が夜中にトイレに行くたびに自分も起き、母を見守るようになった。何度も目が覚め、夜はぐっすりと眠れない状態が続いた。介護は限界に近づきつつあった。「以前と比べ、状況も変わってきましたね。お父さんをしっかりと休ませるためにも、今度こそお母さんにデイサービスを利用してもらいましょう。近くお邪魔しますので、2人でお父さんを説得してみましょう」と言ってくれた。
母は20年7月、「要介護1」と認定されたが、介護サービスを利用しない状態がしばらく続いた。「まだいい」と言う父の反対に加え、コロナ禍で施設への立ち入りが厳しく制限され、見学が容易にできないことなども影響した。千葉さんが「最近のご様子はいかがですか」と口火を切ると、父がこんな話を始めた。 「この頃、寒くなってきたでしょ。手袋を使いたくなって、『どこにしまった?』と苗子(母の名前)に聞くと、『何?』『どこに?』という感じで全く要領を得ないんですよ。仕方がないから、こっちは一生懸命に捜すでしょ。タンスとか押し入れとか。すると、とんでもないところから手袋が出てきて…。分かってはいるんだけど、やっぱり、カーッとなるよね」「昇一さん(父の名前)、本当に一生懸命に苗子さんの面倒を見てきましたよね。日々の献身的な対応ぶり、こちらも本当に頭が下がります。でもそれは心身共に疲れ切っている証拠です。心に余裕がなくなっていますね。ここであらためてもう一度、デイサービスの利用を考えてみませんか。1週間に1回、日帰りのサービスですから、日中の介護からも開放され、昇一さん自身も少しの時間ですけど、気が休まります。リフレッシュできますよ」
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