毎日のように事件・事故が起き、命を落とした被害者の家族や大切な人、同僚、友人は悲しみに暮れ、不条理に憤り、再発防止を願う。2023年に北海道警察が認知した刑法犯は前年比2628件増の2万2232件、同...
毎日のように事件・事故が起き、命を落とした被害者の家族や大切な人、同僚、友人は悲しみに暮れ、不条理に憤り、再発防止を願う。2023年に北海道警察が認知した刑法犯は前年比2628件増の2万2232件、同年に道内で発生した交通死傷事故は同625件増の9082件。新型コロナウイルス禍が落ち着き、人の動きが活発化する中、いずれも増加傾向にある。誰が、いつ、どこで、犯罪や交通事故の犠牲になるか分からない。被害者の無念を晴らすため、容疑者と対峙（たいじ）するのが道警の捜査員たちだ。「髪の毛1本残さない」といわれる地道な現場に向き合う「裏方の職人」の姿を追った。（報道センター 長堀笙乃、前野貴大）スリップ痕、事故車両の損壊箇所、遺体の傷。交通事故がどのように起きたのか。それを立証するのが仕事だ。警察官人生37年、ほぼ一貫して交通捜査畑を歩む。知識や経験は誰よりも豊富。同僚たちは「交通鑑識の神様」と呼ぶ。
当時も道警交通捜査課に所属し、発生直後に現場へ。道路上には、衣服がこすれたとみられる痕跡が途切れることなく続き、その先に人が倒れていた。声を掛けても、びくともしない。緊張感に包まれ、空気が凍り付く。「どれほど痛かっただろう…」。胸が痛むとともに、捜査の執念に火が付いた。
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