自民党の茂木派(平成研究会)が政治団体の解散を決めた。党内に残るは麻生派(志公会)だけとなったが、政策決定や人事などをめぐり党内の力学はどう変わるだろうか。
正直に言えば、茂木派は既に実質的に解散していたと思うので、いまさら感がある。岸田文雄首相は、〝お公家集団〟ともいわれた宏池会出身であるが、表向き派閥解消という荒技で、麻生派を温存し、実質的には解散した岸田派を吸収し「大宏池会」に成功したと本コラムで指摘していた。
実際に安倍派(清和政策研究会)、二階派(志帥会)は解散したが、茂木派も小渕優子選対委員長、古川禎久元法相、青木一彦参院議員らの退会により、実質的に解散状態だったからだ。茂木派から引き抜かれたのは「財政健全化」に積極的な議員なので、「財務省が一枚かんでいてもおかしくない」との見立ても本コラムで紹介した。共産党では「民主集中制」でセクト主義が禁止されているが、自由にさせておけば派閥が発生するからともいえる。 共産主義・社会主義国家ではそうした原則があるが、日本のような民主国家では自由が認められるべきなので、派閥そのものを否定することはとてもできない。憲法21条では他の民主主義国と同様に結社の自由が認められている。大宏池会といっても、首相が派閥解消を言った手前、「岸田派」は形式的には存在しない。しかし、キングメーカーが麻生太郎副総裁であるのは疑問の余地がない。一方、安倍派、二階派は解散しているため、ポスト岸田で候補という旗を立てられるほどの「戦闘力」は期待できない。岸田首相としては、ポスト岸田の話が出ないように衆院3補選の全敗回避に必死だ。特に島根1区は、自民党公認候補が財務省出身ということもあり、落としたくないはずだ。岸田首相としては3補選で全敗しても、6月に解散したいところだろう。これを止められるのは麻生氏しかいない。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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