<社説>石垣市の避難説明会 戦争回避のための努力を - 琉球新報デジタル
島が武力攻撃に巻き込まれる恐れや実効性の乏しい避難計画に対し、参加した市民から疑問や不安の声が相次いだ。戦争を回避する外交努力を政府に働き掛け、住民の安心・安全に努めることが市行政の役割だ。有事を前提とした計画作りに前のめりとなり、市民の不安を助長することがあってはならない。1日に石垣市民会館で開かれた意見交換会では、行政側の説明に対し、参加者から「疎開と何が違うのか」と沖縄戦と重ねて現状を危惧する質問もあった。「住み慣れた石垣で一生を終わりたい」という声もあったが、中山義隆市長は「有事が迫っている時に残る人がいると、その人を守るために市職員も残らないといけない」として「全員避難が大原則だ」と強調した。
国民保護法は、国民の協力について「自発的な意思にゆだねられるものであって、その要請に当たって強制にわたることがあってはならない」と明記している。島を離れたくないという声に耳を貸さず、市職員の安全確保の問題を持ち出して計画に従わせようとするのは自治体の対応として問題が大きい。説明会では、障がいを持つ人たちからも避難情報がきちんと届けられるのかなど懸念する声があった。弱い立場の人が孤立したり、力にならないからと見捨てられたりしないかと不安を募らせていることが浮き彫りとなる。 軍事拠点があることで島は攻撃の対象となる。陸上自衛隊の石垣配備を巡って、住民から「賛否を住民投票で決めるべきだ」という声があった。有権者の4割に当たる約1万5千筆の賛同署名が集まったにもかかわらず、中山市長は住民投票を実施しなかった。石垣島での生活や将来に禍根を残したくないと訴える住民の声に寄り添う姿勢があるのか疑問だ。
説明会には内閣官房の担当者も出席したが、急激な軍備増強によって緊張感を高めるのではなく、不断の外交努力によって不安要素を取り除くことが政府の役目ではないのか。「台湾有事は日本有事」などという姿勢では沖縄の島々に危機を招くだけだ。
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