小林製薬が製造・販売した「紅麹（べにこうじ）」成分のサプリメントで健康被害が相次いでいる問題で、同社の取締役会に症例が報告されたのが、自主回収を最終決定した３…
小林製薬が製造・販売した「紅麹（べにこうじ）」成分のサプリメントで健康被害が相次いでいる問題で、同社の取締役会に症例が報告されたのが、自主回収を最終決定した３月２２日の臨時取締役会が初めてだったことが３日、分かった。医師から同社に最初の症例報告があった１月１５日以降の２カ月以上、社外取締役が外部の視点から意見を言う機会がなかったことになり、問題発生時のコーポレートガバナンス（企業統治）の態勢が問われそうだ。
同社の取締役会は、小林一雅会長、小林章浩社長、山根聡専務の社内出身者３人に加え、コーポレートガバナンスの第一人者として知られる伊藤邦雄・一橋大名誉教授、働く女性の交流サイトを運営するイー・ウーマンの佐々木かをり社長ら社外取締役４人の計７人で構成する。 同社によると、サプリ摂取後に腎疾患で入院した事例が相次ぎ、２月５日から担当部門が原因を検証し、６日に小林社長に報告。１３日からほぼ１週間ごとに小林社長、山根専務、執行役員の計１３人の経営執行会議で経過を報告していた。 一方、定例取締役会は原則月１回開催し、令和５年１２月期決算を発表した２月９日にも開いたが、紅麹サプリの問題は報告されなかった。報告されたのは３月２２日の臨時取締役会で、それまで社外取締役が経営に影響力を行使できる機会はなかった。同日の取締役会では全会一致で自主回収を決めた。
コーポレートガバナンスに詳しい作家で弁護士の牛島信氏は「人の命がかかわる問題で、普通なら（取締役会を開いて）社外取締役にすぐに報告しているはず。報告が遅れたとすれば社長の怠慢で、大問題だ。報告があれば社外取締役は『すぐに事案を公表しろ』といえる立場にあった」と指摘している。（牛島要平）
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