平安時代、長編小説「源氏物語」を執筆した紫式部が主人公のＮＨＫ大河ドラマ「光る君へ」。一条天皇の中宮・彰子（見上愛）のもとへ仕えることになったまひろ（後の紫式…
平安時代、長編小説「源氏物語」を執筆した紫式部が主人公のＮＨＫ大河ドラマ「光る君へ」。一条天皇の中宮・彰子（見上愛）のもとへ仕えることになったまひろ（後の紫式部、吉高由里子）。宮中に住むことになったが、源氏物語執筆という使命を与えられたまひろの部屋には、道長からの特別な計らいも。平安絵巻の世界を実現させた、「女房たちの局」の美術セットを取材した。彰子が過ごす「藤壺」の北側に、女房たちが暮らす局がある。チーフデザイナーのＮＨＫ映像デザイン部・山内浩幹さんは「女房たちのバックヤード。今でいうマンションのようなイメージです」と話す。
横一列に同じ大きさの部屋が並び、各部屋は用途に応じて引物や壁代（壁の代わりに御簾などにかけた布）で仕切られている。柱2つ分で1部屋とされ、1人または2人で使う。さらに、2人1部屋の場合、就寝時は間に几帳を置き、プライベート空間を作る。絵巻物の構図を意識して設計されたのが特徴だ。絵巻物には、わざと屋根や天井などを省略して俯瞰図を描く「吹抜屋台」という技法があるが、「女房たちの局」では壁の上部をあえて作らず、ドローンを飛ばして上から撮影できるようにした。第33回ではこの構造を生かし、女房たちの様子を俯瞰で映し出した場面も。山内さんは「源氏物語絵巻をはじめ、上から見た図は、平安感があります。せっかく横並びで部屋があるので、真上から撮影できるようにしたかったんです」と説明する。女房たちの局のセットは、前上から撮影できるように作られた＝NHK提供まひろの部屋は少し特別扱いされている。女房としては〝新入り〟だが、本来なら2人で使う部屋を1人で使用する。源氏物語を執筆するための文机があり、部屋の片隅には、道長から届けられた、青い布に包まれた越前和紙が置かれた棚も。作家として仕事をするための部屋なのだ
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