コレクションで足の踏み場もない部屋から、90平米のワンルームを「趣味部屋」として契約「前に住んでいた部屋は26畳のワンルームだったんですけど、気がついたら歩けるスペースが1畳しかなくなってしまって……...
好きなものや推しのグッズに囲まれた空間で暮らしたい。そう考えてみても、実際に実現するのはなかなか難しいものです。そんな中で、埼玉県郊外にある90平米のワンルームを“趣味部屋”として借りているのが、お笑いコンビ「チキンナンバン」の大川知英(おおかわ・ともひで)さん。アメリカントイのコレクターである彼は、賃貸物件の倉庫を約600万円かけてリノベーション。2000万円規模のコレクションを飾る空間をつくりあげました。コレクター向けの物件選びのポイントから収納・片付けの工夫まで、趣味部屋の魅力を伺いました。コレクションで足の踏み場もない部屋から、90平米のワンルームを「趣味部屋」として契約 「前に住んでいた部屋は26畳のワンルームだったんですけど、気がついたら歩けるスペースが1畳しかなくなってしまって……『このコレクション、どうしよう?』と物件を探していたんです」(大川さん)2014年からコツコツと集め始めたコレクションはどんどん増えていき、生活空間を圧迫。コロナ禍を機に「もっと広いスペースを」と考えるようになりました。最初は東京都内や神奈川県で物件を探しましたが、広さを求めると家賃が高額に。そんなとき、おもちゃ屋さんに勤める知人から「埼玉にいい物件があるよ」と紹介されたのが、この部屋でした。「内見したその日に契約しました。仕事のことを考えると少し遠いんですが、自宅をダウンサイズして、趣味の二拠点生活もいいだろうと考えたんです。週に何度かこちらの部屋に来て趣味を満喫して、自宅では寝るだけ。そう考えれば、トータルの家賃はあまり変わらないんじゃないかなと」(大川さん) 倉庫物件で、家賃は8万8000円。もともとオフィスが入っていた物件を居抜きで借り、内装業を営む友人に床や壁をリノベーションしてもらいました。原状回復さえすれば、自由にDIY可能だったそうです。「倉庫なので、トイレさえもなかったんです。僕はここでコレクションを眺めながらゆっくり過ごしたかったので、トイレを設置しました。フローリングも壁も全体を茶色っぽく落ち着かせて、古いものが映える空間にしました」(大川さん)照明はオレンジ色の電球に替え、ヴィンテージがなじむ雰囲気に。賃貸でありながら自分好みの空間を実現できたそうです。 それにしてもこれだけの看板や照明、さらにはショーケースが並んでいると、電気代がかさむのでは? ご本人に聞いてみると……。「とにかく広い空間なので、冷房が必要なシーズンは電気代がかかります。それでも、月2万5000円くらい。看板やショーケースなどに使っている電球はLEDなので省エネ。交換も安くできます」(大川さん)そんな大川さん、家電にもただならぬこだわりがあるのだとか。「家具家電ももちろんすべてヴィンテージです。ランプやテーブルもマクドナルドの店舗で実際に使われていたものですし、冷蔵庫は1950年代のもの。ビールが冷えるまでに1時間ほどかかるんですが(笑)、見た目がかわいくて思わず買ってしまいました」(大川さん) トイ・ストーリーの世界観に憧れて……総額2000万円のコレクション大川さんがアメリカントイにのめりこんだきっかけは、映画『トイ・ストーリー』。「おもちゃを大切にする心を教わった」と大川さんは言います。「最初は企業キャラクターのフィギュアを集めるところからスタートしました。やがて店舗看板や、映画館やテーマパークのディスプレイへと収集対象が広がっていきました」(大川さん) 膨大なコレクションの中でも目を引くのは、70~80年代にマクドナルドの店舗やテーマパークで使われていた、通称「スタチュー※」と呼ばれるもの。※statue/フィギュアより大きなサイズの彫像「奥にある木のキャラクター『アップルパイツリー』は2年前、約80万円で購入しました。今の相場だと、だいたい120万円くらいするのかな? どんどん上がっています。これだけ集めるのは大変でしたけど、あのとき買っておいてよかったと思えています」(大川さん) 巨大な「ビッグマックポリス」は、実際にアメリカのマクドナルドの店舗で使われていた子ども向け遊具です。 「『ビッグマックポリス』の遊具は、15万円と破格で購入できたんです。でも、海外からの輸送費がなんと85万円。そして買ったものの、どう考えても部屋に入らないサイズで(笑)。知り合いの溶接業の方に来ていただいて、一度解体した後に部屋の中でまた組み立ててもらいました。無理だと思っていても、周囲に相談すると思わぬところにアベンジャーズがいて解決してくれます」(大川さん)ほかにも、作品公開時に映画館に飾られていた『モンスターズ・インク』の大型フィギュアなど、迫力あるコレクションが並びます。購入は、海外からの個人輸入やeBayでのオークション。相場感がわからないときは、行きつけのおもちゃ屋の店主に相談することもあるそうです。この部屋に集まったコレクションは、現在の相場で総額は約2000万円にのぼります。 収納・片付けのコツは「飾る」と「しまう」を分けることそれにしても、大川さんはこれだけのコレクションをどう管理しているのでしょうか。「大きなスタチューは、そのまま飾ります。もともと屋外に設置されていたものが多いですし、つくりもタフで、ケアも手がかかりません。ぬいぐるみやラバードールなどデリケートなものはショーケースへ。箱入りで中身が見えるものはそのまま棚に。半年に一度くらい、配置替えを楽しんでいます」(大川さん) 掃除はブロワーを使ってほこりを一気に飛ばすのがコツなのだそう。フィギュアは気づいたときに軽く拭く程度で、神経質にならないようにしているそうです。「一番大事なのは、人を呼ぶこと。友達やお客さんを招くと『片付けなきゃ』って気持ちになりますし、コレクションに興味がない人がどんなところを気にするのかも参考になります」(大川さん)趣味部屋がくれる「非日常」と暮らしのメリハリ 趣味部屋は大川さんの自宅から車で約1時間。少し距離があるからこそ「非日常の空間」として機能しています。「ここに来ると気持ちが切り替わるんです。現実から離れて、映画を観たり、お酒を飲んだり。アメトイ仲間と集まる場所にもなっています」(大川さん)訪れる人の反応はさまざま。「かわいい」と喜ぶ人もいれば「怖い、全部見られているみたい」と驚く人も。でも、そんな友人たちの反応もまた楽しみのひとつだと笑います。コレクターにおすすめの物件選び最後に、大川さんに「趣味部屋をつくりたい人」へのアドバイスを伺いました。「まずは、倉庫やオフィス物件など、リノベ可能な物件を探すことです。都心を外せば広さと家賃のバランスを確保できます。床材や空調など、コレクションを守るための内装に投資することも大切ですね。僕の場合は約600万円かかりました。賃貸物件にそこまでやるの? と考える人も多いと思いますが、せっかくの趣味のための部屋なので、最高の空間にしたいですから。倉庫以外でも、オフィス向け物件だとリノベーションが可能なことが多いので、そこを探してみてもいいかもしれませんね」(大川さん)最大の難関は「引越し」。壊さない工夫と友人・業者の協力が不可欠 実は、物件探しよりハードルが高かったのは引越しだそう。ヴィンテージトイは破損事故があっても保証されにくく、同じものが手に入らない可能性が高いのだとか。「とにかく壊れないように運ばないといけないので、引越しは自力でやりました。どうしても重くて難しいものは業者さんを頼ることもありましたが、そもそも重すぎたり、希少価値が高すぎたりして、配送業者さんに断られることもあったんです。頼れる友達を集めて、まずは自家用車でコツコツ搬入。最終的にはトラックを3日間借りて、大物を担いでいれました」(大川さん)運ぶコツは、通い詰めているおもちゃ屋さんの店主やコレクター仲間から情報収集したそうです。夢は「コレクターとしてビル一棟借り」 「いずれはビル一棟をまるごと借りて、コレクションで埋め尽くしたい」と語る大川さん。まさにSUUMOで物件検索をしたり、土地を探したりしているのだとか。「もう、だだっ広い土地付きの倉庫を借りるか買うかして、寝泊まりはキャンピングカーでもいいとも思っています。とにかく好きなものに囲まれて生きていきたいんですよ。みんなによく「そこまでやるの!?」と言われますが、僕も冷静に考えるとブレーキがかかってしまう。だからこそ、勢いのまま一気に突き進むつもりです」(大川さん)大川さんの90平米の趣味部屋は、まさに大人の夢のおもちゃ箱。住まいの選び方次第で、「好き」との暮らしはもっと自由になることを教えてくれました。<撮影:小原聡太 / 取材・編集:小沢あや(ピース株式会社)>.
好きなものや推しのグッズに囲まれた空間で暮らしたい。そう考えてみても、実際に実現するのはなかなか難しいものです。そんな中で、埼玉県郊外にある90平米のワンルームを“趣味部屋”として借りているのが、お笑いコンビ「チキンナンバン」の大川知英(おおかわ・ともひで)さん。アメリカントイのコレクターである彼は、賃貸物件の倉庫を約600万円かけてリノベーション。2000万円規模のコレクションを飾る空間をつくりあげました。コレクター向けの物件選びのポイントから収納・片付けの工夫まで、趣味部屋の魅力を伺いました。コレクションで足の踏み場もない部屋から、90平米のワンルームを「趣味部屋」として契約 「前に住んでいた部屋は26畳のワンルームだったんですけど、気がついたら歩けるスペースが1畳しかなくなってしまって……『このコレクション、どうしよう?』と物件を探していたんです」(大川さん)2014年からコツコツと集め始めたコレクションはどんどん増えていき、生活空間を圧迫。コロナ禍を機に「もっと広いスペースを」と考えるようになりました。最初は東京都内や神奈川県で物件を探しましたが、広さを求めると家賃が高額に。そんなとき、おもちゃ屋さんに勤める知人から「埼玉にいい物件があるよ」と紹介されたのが、この部屋でした。「内見したその日に契約しました。仕事のことを考えると少し遠いんですが、自宅をダウンサイズして、趣味の二拠点生活もいいだろうと考えたんです。週に何度かこちらの部屋に来て趣味を満喫して、自宅では寝るだけ。そう考えれば、トータルの家賃はあまり変わらないんじゃないかなと」(大川さん) 倉庫物件で、家賃は8万8000円。もともとオフィスが入っていた物件を居抜きで借り、内装業を営む友人に床や壁をリノベーションしてもらいました。原状回復さえすれば、自由にDIY可能だったそうです。「倉庫なので、トイレさえもなかったんです。僕はここでコレクションを眺めながらゆっくり過ごしたかったので、トイレを設置しました。フローリングも壁も全体を茶色っぽく落ち着かせて、古いものが映える空間にしました」(大川さん)照明はオレンジ色の電球に替え、ヴィンテージがなじむ雰囲気に。賃貸でありながら自分好みの空間を実現できたそうです。 それにしてもこれだけの看板や照明、さらにはショーケースが並んでいると、電気代がかさむのでは? ご本人に聞いてみると……。「とにかく広い空間なので、冷房が必要なシーズンは電気代がかかります。それでも、月2万5000円くらい。看板やショーケースなどに使っている電球はLEDなので省エネ。交換も安くできます」(大川さん)そんな大川さん、家電にもただならぬこだわりがあるのだとか。「家具家電ももちろんすべてヴィンテージです。ランプやテーブルもマクドナルドの店舗で実際に使われていたものですし、冷蔵庫は1950年代のもの。ビールが冷えるまでに1時間ほどかかるんですが(笑)、見た目がかわいくて思わず買ってしまいました」(大川さん) トイ・ストーリーの世界観に憧れて……総額2000万円のコレクション大川さんがアメリカントイにのめりこんだきっかけは、映画『トイ・ストーリー』。「おもちゃを大切にする心を教わった」と大川さんは言います。「最初は企業キャラクターのフィギュアを集めるところからスタートしました。やがて店舗看板や、映画館やテーマパークのディスプレイへと収集対象が広がっていきました」(大川さん) 膨大なコレクションの中でも目を引くのは、70~80年代にマクドナルドの店舗やテーマパークで使われていた、通称「スタチュー※」と呼ばれるもの。※statue/フィギュアより大きなサイズの彫像「奥にある木のキャラクター『アップルパイツリー』は2年前、約80万円で購入しました。今の相場だと、だいたい120万円くらいするのかな? どんどん上がっています。これだけ集めるのは大変でしたけど、あのとき買っておいてよかったと思えています」(大川さん) 巨大な「ビッグマックポリス」は、実際にアメリカのマクドナルドの店舗で使われていた子ども向け遊具です。 「『ビッグマックポリス』の遊具は、15万円と破格で購入できたんです。でも、海外からの輸送費がなんと85万円。そして買ったものの、どう考えても部屋に入らないサイズで(笑)。知り合いの溶接業の方に来ていただいて、一度解体した後に部屋の中でまた組み立ててもらいました。無理だと思っていても、周囲に相談すると思わぬところにアベンジャーズがいて解決してくれます」(大川さん)ほかにも、作品公開時に映画館に飾られていた『モンスターズ・インク』の大型フィギュアなど、迫力あるコレクションが並びます。購入は、海外からの個人輸入やeBayでのオークション。相場感がわからないときは、行きつけのおもちゃ屋の店主に相談することもあるそうです。この部屋に集まったコレクションは、現在の相場で総額は約2000万円にのぼります。 収納・片付けのコツは「飾る」と「しまう」を分けることそれにしても、大川さんはこれだけのコレクションをどう管理しているのでしょうか。「大きなスタチューは、そのまま飾ります。もともと屋外に設置されていたものが多いですし、つくりもタフで、ケアも手がかかりません。ぬいぐるみやラバードールなどデリケートなものはショーケースへ。箱入りで中身が見えるものはそのまま棚に。半年に一度くらい、配置替えを楽しんでいます」(大川さん) 掃除はブロワーを使ってほこりを一気に飛ばすのがコツなのだそう。フィギュアは気づいたときに軽く拭く程度で、神経質にならないようにしているそうです。「一番大事なのは、人を呼ぶこと。友達やお客さんを招くと『片付けなきゃ』って気持ちになりますし、コレクションに興味がない人がどんなところを気にするのかも参考になります」(大川さん)趣味部屋がくれる「非日常」と暮らしのメリハリ 趣味部屋は大川さんの自宅から車で約1時間。少し距離があるからこそ「非日常の空間」として機能しています。「ここに来ると気持ちが切り替わるんです。現実から離れて、映画を観たり、お酒を飲んだり。アメトイ仲間と集まる場所にもなっています」(大川さん)訪れる人の反応はさまざま。「かわいい」と喜ぶ人もいれば「怖い、全部見られているみたい」と驚く人も。でも、そんな友人たちの反応もまた楽しみのひとつだと笑います。コレクターにおすすめの物件選び最後に、大川さんに「趣味部屋をつくりたい人」へのアドバイスを伺いました。「まずは、倉庫やオフィス物件など、リノベ可能な物件を探すことです。都心を外せば広さと家賃のバランスを確保できます。床材や空調など、コレクションを守るための内装に投資することも大切ですね。僕の場合は約600万円かかりました。賃貸物件にそこまでやるの? と考える人も多いと思いますが、せっかくの趣味のための部屋なので、最高の空間にしたいですから。倉庫以外でも、オフィス向け物件だとリノベーションが可能なことが多いので、そこを探してみてもいいかもしれませんね」(大川さん)最大の難関は「引越し」。壊さない工夫と友人・業者の協力が不可欠 実は、物件探しよりハードルが高かったのは引越しだそう。ヴィンテージトイは破損事故があっても保証されにくく、同じものが手に入らない可能性が高いのだとか。「とにかく壊れないように運ばないといけないので、引越しは自力でやりました。どうしても重くて難しいものは業者さんを頼ることもありましたが、そもそも重すぎたり、希少価値が高すぎたりして、配送業者さんに断られることもあったんです。頼れる友達を集めて、まずは自家用車でコツコツ搬入。最終的にはトラックを3日間借りて、大物を担いでいれました」(大川さん)運ぶコツは、通い詰めているおもちゃ屋さんの店主やコレクター仲間から情報収集したそうです。夢は「コレクターとしてビル一棟借り」 「いずれはビル一棟をまるごと借りて、コレクションで埋め尽くしたい」と語る大川さん。まさにSUUMOで物件検索をしたり、土地を探したりしているのだとか。「もう、だだっ広い土地付きの倉庫を借りるか買うかして、寝泊まりはキャンピングカーでもいいとも思っています。とにかく好きなものに囲まれて生きていきたいんですよ。みんなによく「そこまでやるの!?」と言われますが、僕も冷静に考えるとブレーキがかかってしまう。だからこそ、勢いのまま一気に突き進むつもりです」(大川さん)大川さんの90平米の趣味部屋は、まさに大人の夢のおもちゃ箱。住まいの選び方次第で、「好き」との暮らしはもっと自由になることを教えてくれました。<撮影:小原聡太 / 取材・編集:小沢あや(ピース株式会社)>
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