村上春樹作品に多くの人が魅了されるのはなぜか。「一粒で二度おいしいこと」、「ヴォイス」、と「人に対する洞察」が鍵というが──。 →村上春樹の「人間洞察力」が経営に効く理由
そもそも、企業、経営とは何か? と改めて考えてみました。様々な切り口があるでしょうが(社会貢献の手段。世界を変える手段。生きてゆく糧を得るための組織。利益を上げるための集団等々)、その切り口の一つとして、「人によって価値がうみだされ、人によって受け取られて行く」ことが企業活動と言えます。生み出す側も受け取る側も「人」なのです。つまるところ「人」なのです。したがって、企業経営には「人に関する深い理解、洞察」が不可欠と言えます。
人に関する洞察? すなわち文学に他なりません。過去、偉大な経営者の言葉に触れる中で、「あれ、同じことが村上春樹さんの小説に書いてあったぞ」と思うことがしばしばありました。そこで、本連載では、日本が誇る偉大な作家(=人間洞察家)である村上春樹さんに経営を学ぶ議論をシリーズで書いていきます。日本でもっとも読まれる作家・村上春樹さん。世界でもっとも読まれる日本の作家・Murakami Haruki。『ノルウェイの森』(講談社、1987年)は軽く1000万部を超えているそうです。日本語で書かれた小説が1000万部を超えることはもうないでしょう。 筆者もファンの一人です。村上春樹さん研究家ではない筆者が長編を10回、20回読むことはなかなか難しいですが、『螢・納屋を焼く・その他の短編』(1984年、新潮社)や『かえるくん、東京を救う』(『神の子どもたちはみな踊る』所蔵。2000年、新潮社)や『UFOが釧路に降りる』(同)や『タイランド』(同)など、好きな短編は10回、20回と読んでいます。長期出張の際には一日一冊換算で本を持っていきますが、そのうちの一冊は必ず村上春樹です。
もちろん、村上春樹さんの著作全てに全面的に賛成するわけではありません。村上春樹さん自身、「今回の本はつまらなかったけれど、でも、次が出たら買う」という読者がいちばん嬉しいと書いていますが、筆者はまさにそのような読者です(作家にせよ政治家にせよ経営者にせよ友人にせよ、全面的な支持ほど欺瞞的で危険なものはないことは、申し上げるまでもありません。村上春樹も、自身の「物語」を他者に渡してはならないと述べています)。
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