この記事は、名監督として知られる川上哲治の指導哲学と影響について解説しています。
会社と違って、たった一戦で勝ち負けがつく非情な世界。プロ野球12人の監督は、新たなシーズンのビジョンを描く。その答えによってはクビがすげ替えられる。例えば近鉄、オリックスで指揮をとった仰木彬は、いかにも“放任”のように語り継がれるが、なにもチームをフリーにしたわけではない。野武士軍団で育っただけに、ふるまいは豪快だが、独自の緻密なデータで選手を縛った。川上が人生の夕日に差しかかった頃、直接お目にかかることが実現し、組織を束ねる術を、そして勝つためのチーム作りを聞き出す機会を得る幸運に恵まれた。それは記者冥利に尽きる日々でもあった。その川上野球を、ヤクルト、西武で管理を徹底した広岡達朗(リーグ優勝4度、日本一3度)、西武の黄金時代を築いた森祇晶(リーグ優勝8度、日本一6度)らが継承した。王貞治も「川上さんでなければV9はできなかった」という。「部下や後輩を叱らない管理職は下を真剣に育てようという覇気にかけるのでしょう。部下に嫌われたくない、よく思われたいと思っているのかもしれません。また人を叱るには、人を使うことを自分自身が勉強しながらつかみとっていくしかない」
だから川上は自らも厳しく律した。岐阜の山奥にある真冬の正眼寺で、老師だった梶浦逸外のもと坐禅を組んだ。その禅寺には拙者も幾度となく足を運び、当時の雲水がする寺で修行をしてきた。その川上イズムを中日、阪神で星野仙一が実践するのだった。鶴岡の長男・山本泰から確執があった野村克也との間柄について興味深い話しを聞き込むことができた。野村夫人の沙知代から「うちのダンナは鶴岡さんに足を向けて寝たことはございません」と打ち明けられたという。 名監督だった野村も、球界にミーティングを導入した川上について「技術を磨くことは、人間性の向上がないとできない」とリスペクトしたのだ。フォーメーション、先乗りスコアラーを採り入れた川上イズムは近代野球の“原点”だったといえる。 そういえばこのオフ、阪神で日本一監督になった岡田彰布が、25年1月1日から出演するABCラジオ「おはようパーソナリティ小縣裕介です/古川昌希です」の新春特番(14時~16時)の収録に立ち会うことができた。川上は10連覇できなかったことに「巨人は負けるべくして敗れた」という。そして、人と名を残した最強監督に上り詰めた彼でさえ、自身の執念が薄れたと己を責めるのだった。もはや壮絶な監督業へのこだわりがうかがい知れる。
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