小林製薬は8日、2024年1〜6月期の連結決算を発表した。紅麹(こうじ)原料を含むサプリメントの健康被害問題を受けて、同事業から撤退することも発表した。同日に就任した山根聡新社長と前社長の小林章浩取締役らが記者会見に出席して説明した。【関連記事】小林製薬が記者会見を開くのは、健康被害問題が発覚してから1週間後の3月29日以来となる。情報開示の遅れなど一連の対応の責任をとり、小林一雅前会長と小林
山根社長は「紅麹は大阪工場で原料を作っていたが、撤退する。医薬品健康食品事業は認証をしっかり受けて安全につくっている。さらに見直して安全性を高める考えだ。健康に貢献できる事業を存在意義として、小林製薬が事業としてやっているという状況にしていきたい」と説明した。小林取締役に「患者さんを診察した医者を取材したところ、小林製薬の対応が迅速でなかったとの指摘があった。振り返ってどう考えるのか」という質問が出た。小林取締役は「おそらく、第1番目の症例の報告を受けてから、製品を回収するまでの告知までの期間のことを指摘しているのかと思う。3月の記者会見でも申し上げたが、この紅麹については、シトリニンという独自の腎臓への影響や副作用、紅麹特有の腎臓への影響の可能性なども疑っていた。とにかく調べていきながら、製品と症状の関連性を調べていた。時間がかかってしまったことで、被害に遭われた方がいらっしゃったのであれば、心からお詫びしたい。判断のスピードは、私の力の無さだと思っている」と話した。
青カビの増殖試験についても説明した。「科学的な試験だが、一つが製品に関して実験的にアオカビを植え付けて増殖するかどうかを確認する実験をしている。結論から申すと青カビは増殖しない。市場流通製品からもプベルル酸は発見されてない」とした。「工場から重大な健康リスクは現時点で認められていないが、入念に確認をすすめて全社一丸となって改善に取り組む。具体的には生産活動を凍結してリソースを配分する。工場だけの活動では不十分であり、本社や研究開発機能も一丸となってものづくり改善活動をすすめる。最後にさきほどもいったが弊社のみの力でなく監査機能を強化して安全確認する。再発防止策を策定して、まとまり次第公表したい」。山下執行役員が紅麹製品以外の製品の調査状況について説明した。「紅麹以外も心配をかけている。その他の製品に関して同様のリスクがないか、確認しているので進捗を報告する。当社工場で生産している製品の状況だが、定期的に外部の監査を受け、合格を受けた上で製造している。自社での安全性確認を踏まえて、口から摂取する製品の製品ラインについて自主点検している。今後は第三者機関の監査を年内までに実施する予定だ」と
小林取締役が補償体制について説明した。「7月1日に補償の専任部署として補償対応本部を立ち上げ、それまで各本部でやっていた補償関連業務を集約した。顧客対応を迅速かつ適切にすすめられる体制だ。誠心誠意補償に対応していく。補償方針についてだが、まず対象製品はプベルル酸の含有が確認された可能性のある製品となる。対象となる顧客、対象製品と症状に因果関係が認められる顧客となる。補償内容については医療費、交通費、慰謝料、休業補償など。これらの支払い時期については医療費や交通費は随時対応し、慰謝料などは了承され次第、すみやかに対応していく」とした。「1つは被害者への謝罪と補償、これは最優先だ。2つ目は品質安全管理と企業理念風土の見直しだ。3つ目は品質を第一に考える考え方がたりなかったことを見直していく。4つ目は経営体制の抜本的改革だが、こちらは危機管理の失敗を教訓に改革すすめていく。5つ目が従業員への対応だ。今回危機管理問題の対応におけるリーダーシップ発揮できずに失敗し、信頼を損なった。今一度、従業員に信頼や安心感もてるよう対話を進める」とした。
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