筆者は、岸田文雄政権と宮沢喜一政権が似ていると思う。両政権とも、広島県出身で宏池会の首相というだけではない。政治状況の急変により急遽(きゅうきょ)、登板のチ…
宮沢氏が首相に就任したのは1991(平成3)年だ。若い海部俊樹氏が首相になった時点で、「宮沢首相の目はない」と言われていたが、その海部政権がにわかに退陣したことで、潮目が変わった。政策課題よりも、「政治とカネ」の問題に翻弄されている点でも共通している。
宮沢政権発足の翌年、宏池会事務総長だった阿部文男・元北海道開発庁長官が受託収賄罪で逮捕された。さらに、金丸信副総裁の「闇献金問題」も発覚した。岸田政権と同様、汚職事件への対応をめぐって支持率を低下させた。当時、国民は日銀の急激な金融引き締めによる「バブル退治」に拍手喝采し、慎重姿勢を示す宮沢政権には批判的だった。宮沢氏は、バブル崩壊に伴う経済危機などに対応するため、公的資金による不良債権処理にも言及したが、当時の世論の「空気」では公的資金投入など論外だった。そのデフレ脱却に、30年以上の歳月を隔てて岸田政権が挑む。これも宮沢政権と岸田政権を結ぶ因縁かもしれない。 宮沢政権退陣の引き金は、党内の「政治改革推進」を求めるグループの造反で内閣不信任案が可決したことだ。宮沢氏は総辞職ではなく、迷わず解散を決断し、総選挙が終わると辞意表明した。あまりにサバサバとした姿が妙に印象的だったのを覚えている。
それにしても、なぜ、反主流派の造反の動きを知りながら、機先を制し解散しなかったのか。造反がなければ「過半数割れ」もなく、違った展開になったのではないか。宮沢氏は、慎重すぎる政局運営により、「追い込まれ解散」を余儀なくされてしまったように思えてならない。
産経 サンケイ 新聞 ニュース 速報 政治 経済 社会 国際 スポーツ エンタメ
日本 最新ニュース, 日本 見出し
Similar News:他のニュース ソースから収集した、これに似たニュース記事を読むこともできます。
ニュース裏表 伊藤達美 岸田政権と宮沢政権の類似性 急遽巡ってきた登板チャンスも「政治とカネ」に翻弄、慎重すぎる政局運営 〝教訓〟は活かせるか筆者は、岸田文雄政権と宮沢喜一政権が似ていると思う。両政権とも、広島県出身で宏池会の首相というだけではない。政治状況の急変により急遽(きゅうきょ)、登板のチャン...
続きを読む »
自民党派閥解消でガバナンス欠如 罪悪視せずニューリーダーの下で再編を 伊藤達美 ニュース裏表筆者は、派閥は肯定すべきだと考えている。行き過ぎた派閥活動を是正することに異論はないが、派閥そのものを全面否定するのは誤っている。ところが、岸田文雄首相(自民…
続きを読む »
「10年たったら竹下さん」昭和の明るさどこへ 新しい政治リーダーが育たぬ理由 伊藤達美 ニュース裏表「講和の条約 吉田(茂)で暮れて 日ソ協定 鳩山(一郎)さんで 今じゃ佐藤(栄作)さんで沖縄返還 10年たったら竹下さん」 故竹下登元首相が、宴席で興に乗ると…
続きを読む »
真っ先にやるべきは解散総選挙 岸田首相「大英断」も政治不信拡大の理由 伊藤達美 ニュース裏表岸田文雄首相は6日、熊本市で開かれた自民党員らとの「車座対話」で、今通常国会で政治資金規正法改正を実現する考えを強調した。
続きを読む »
真っ先にやるべきは解散総選挙 岸田首相「大英断」も政治不信拡大の理由 伊藤達美 ニュース裏表岸田文雄首相は6日、熊本市で開かれた自民党員らとの「車座対話」で、今通常国会で政治資金規正法改正を実現する考えを強調した。
続きを読む »
米議会スタンディングオベーションは日本人全体への友好表明 岸田批判は狭量だ 伊藤達美 ニュース裏表岸田文雄首相が11日、連邦議会の上下両院合同会議で盛大な拍手で迎えられた際、「日本の国会で、これほどすてきな拍手を受けることは、まずありません」とジョークで…
続きを読む »