Google Cloud は、生成AIをテーマとしたイベント「Generative AI Summit Tokyo '24」を開催。本記事では、設計の現場で生成AIを使ったプログラム開発の効率化に取り組む住友ゴム工業のセッションの様子をお届けする。
加えて、タイヤ開発では、多岐にわたる性能のシミュレーションが必要となる。住友ゴムでは、デジタル設計に1990年代から取り組んでおり、その中で用途に合わせた解析ソフトを活用してきた。シミュレーションのプロセスにおいては、自動化処理やカスタマイズのために、CADでは“Lisp”、シミュレーションには“C++”、結果処理には“Python”といった具合に、さまざまなプログラミング言語を用いなければならないという。さらに、古い自作ソフトも稼働中であり、“Fortran”や“Perl”といった言語も現役である。ひとつはプログラムを書くにあたっての課題だ。古い言語を書けるエンジニアが定年退職したことで、保守性に不安を抱えていた。加えて、マルチリンガル(多様な言語)でのプログラミングが必要であるにもかかわらず、入社してからプログラミングを始める社員も多く、スキルの底上げや開発効率化が求められていた。
もうひとつは、プログラムの運用にまつわる課題である。プログラムを実際に活用する設計部門では、最新バージョンの適用や環境設定の煩雑さが課題となっていた。ウェブアプリ化すれば解決できるが、その場合は新たにサーバー管理などの作業が生じる。まず、プログラミングを書くにあたっての課題は、生成AIを用いて解決を試みた。部門横断の調査チームを結成し、Google Cloudのセキュアな環境で、生成AIの開発支援が受けられる「Gemini for Google Cloud(旧称Duet AI for Google Cloud)」を2023年10月頃より利用開始している。 Google Cloudでの開発環境は、同社の多くのエンジニアが利用していたVisual Studio Codeを基盤としており、ひとつの画面で、Gemini(GoogleのAIアシスタント)との会話から、プログラミングの実行確認までができる。生成AIの適用は、開発効率化のための“新規プログラムの自動生成”から始めた。例えば、「csvデータを読み込んで、3Dプロットを描画するプログラムをPythonで書いて」とプロンプトで指示し、そこで自動生成されたコードを基に、エラー修正などを追加で依頼するだけでコードを完成させる。
加えて、単体テスト用のプログラムも生成してもらい、プログラムを検証するのも重要だという。「『生成AIの書いたプログラムは信用できない』という人もいるかもしれないが、信用できるようにするテストも考えてくれるくらい優秀だ」と角田氏。もうひとつの適用先が、保守性を高めるための“プログラム言語の変換”だ。PerlからPythonといったスクリプト言語同士の変換は、直接生成AIに変換を依頼する形でも比較的上手くいくケースが多く、「有識者の負担が減らせる」と角田氏。 一方で、FortranからPythonのようなコンパイラ言語からスクリプト言語の変換については、「『私は所詮LLM』と、さすがに断られた」(角田氏)という。回避策として、Fortranのプログラムを生成AIに要約してもらい、その要約を基にPythonによるコード生成を依頼すると、適宜修正が必要となるものの変換に成功したという。「Pythonが得意な人なら上手くいくのではないか」と角田氏。
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