1960年7月28日東京都生まれ。1985年、ちばてつや賞に入選した「ゴミの海」がモーニングオープン増刊(講談社)に掲載されデビュー。1993年、月刊アフタヌーン(講談社)にて「寄生獣」連載開始。異形の怪物が日常に潜む恐怖に、多くの読者が引き込まれヒット作になる。その後モーニング(講談社)、ヤングチャンピオン(秋田書店)、ヤングアニマル嵐(白泉社)などで連載を重ね、2003年再び月刊アフタヌーンにて「ヒストリエ」の連載を開始。「寄生獣」にて1993年第17回講談社漫画賞および1996年第27回星雲賞コミック部門を受賞している。
いやー、楽しかったですね!...
19歳ですかね。当時、ある新人漫画賞に入選しまして。いただいた賞金で、読みたかったマンガをまとめ買いしたんです。その中に「七夕の国」も入っていた。高校時代に読んだ「寄生獣」は文字通り人類のあり方を根本から問い直す大傑作でしたが、それとはまた違った、言わば土俗的な物語世界に引き込まれました。いったいどこからこんな変な話を思いつくんだろうと(笑)。岩明先生のマンガ的想像力に、ただただ憧憬した記憶があります。いろんな解釈を許す強度を持った作品だと思うのですが、僕自身は「土地と記憶の物語」という側面にすごく反応していた気がします。ここで言う記憶は、トラウマという言葉にも置き換え可能かもしれません。本作の重要な舞台は“丸神の里”。東北の山間部にある辺鄙な場所です。この土地に生まれた人間には古来、ほかとは違う奇妙な力が備わっている。その事実をひた隠し、外部からの介入をひたすら避けながら何百年も暮らしています。ところが、脳天気な大学生活を送っている主人公のナン丸が、実はこの超能力の継承者だった。彼はとある事情からルーツの地である丸神の里を訪れる。そしてそれをきっかけに、自らに与えられた力の根源に向き
あらすじを話しているだけでも、ワクワクしますよね(笑)。いろんなレイヤーの謎解きが重なり合っていて、ぐんぐんストーリーに引き込まれていく。娯楽マンガとしても楽しくて、この面白さは今回のドラマ版でもしっかり再現されていました。ただ岩明先生の作品がすごいのは、そういったエンタメ的な構造と、より深淵で哲学的と言っていい問題意識が、分かち難く溶け合っている。それも「作品の1要素として社会性を盛り込みました」とか、そういう表層的な次元じゃなくて。物語性と知的探究心みたいなものが、根っこのところで固く結びついてる感じがするんです。うん、僕はそう受け取りました。古代ローマで使われていた“ゲニウス・ロキ”っていう言葉があるんですね。もともとは神話に登場する土地の守護精霊のことで。転じて今では、ある場所に固有の雰囲気とか、地形が醸し出すオーラを指すことが多い。例えば近代建築理論ではいかにゲニウス・ロキに寄り添う設計をするかも、重要な課題になっています。その意味では過去も現在も、人間存在の根源に関わるテーマだと思うんですね。ただ歴史を振り返ると明らかなように、守護というのは容易に束縛にも転じうるでしょう。
──はい。1つは「手がとどく」能力。これは丸神の里でもごく少数者で、空中に奇妙な球体を作りだして、物体をまんまるくエグりとることができます。主人公のナン丸は、祖父からこの力を受け継いでいた。ただし、エグッた物質がどこに消え去るかは誰も知りません。もう1つは「窓をひらく」能力。こちらは作中、住民の多くが見る悪夢のようなものと説明されています。 僕なりの表現で言うと、前者は植え付けられたトラウマの根源に触れて、部分的に操る力。後者はその存在を感知する力ということになるかもしれません。顕れ方は違っていても、私たちが生きている世界の「外部」に近接しているという点は共通しています。そして物語の後半、この力との向き合い方をめぐって、登場人物の間で決定的な対立が起きていく。ここから先の展開はぜひ、ドラマで確かめていただきたいんですけど(笑)。いずれにしても岩明先生は、「手がとどく者」と「窓をひらいた者」というユニークな設定を通じて、言わばゲニウス・ロキの誕生を描こうとされたんじゃないかと。ドラマ版を拝見して、改めてそう感じました。そうなんですよ!...
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