米連邦準備理事会（ＦＲＢ）のパウエル議長らは今週の次回連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）で次の利上げについて話し合う。ただ、９月１８日の前回会合最終日に大幅な利下げを決めて以来、長期国債利回りが記録的な上昇を続けており、わずか２カ月前よりもはるかに複雑な状況に直面することになる。
［オーランド（米フロリダ州） ５日 ロイター］ - この利回り上昇の大部分の要因は、米大統領選で共和党候補のドナルド・トランプ前大統領が勝って放漫な財政政策を進めることを予想した投資家が米国債を売ったためだ。
もちろん、ＦＲＢはそもそもイールドカーブを本当に「制御」しているわけではない。しかし、投資家はＦＲＢが長期金利をある程度制御できると信じている。ＦＲＢが２００８年以来、数兆ドルもの債券を買い入れる量的緩和や、フォワードガイダンス（指針）、米国債ポートフォリオの短期債を減らして長期債を増やす「オペレーション・ツイスト」などのさまざまな政策で成功を収めてきたからだ。国債利回りは高止まりしているが、恐ろしいほどの水準ではない。１０年物国債利回りは現在４．３０％前後、３０年債利回りは４．５０％弱だ。 ＦＲＢが長期金利の制御を失えば、この状況はさらに悪化する可能性がある。ダンプド・スプリングのアンディ・コンスタン最高経営責任者（ＣＥＯ）兼最高投資責任者（ＣＩＯ）は、このシナリオでは１０年債利回りが５．５０％を上回り、３０年債利回りは６％を超える可能性があるとの見方を示す。コンスタン氏は最近、「これは予測ではない。もしも迅速に対応しない場合には、ＦＲＢと財務省が犯した政策ミスの結果となる」と記した。それでは、このような危険な状況に陥るのを避けるためにＦＲＢはどうすればいいのだろうか。例えば、次回ＦＯＭＣで利下げ局面を一時停止するか、今年１２月の会合で利下げの一時停止を示唆するのではないか。また、保有資産縮小に力強く取り組むと改めて表明し、最終的な政策金利の着地点が以前考えられていたよりも高くなることを示唆するかもしれない。米国の国内総生産（ＧＤＰ）成長率は依然堅調だが、労働市場には亀裂が入り始めている。１０月の雇用者数の増加幅が１万２０００人とわずかだったことは、主に一過性の外的要因を反映したものだろう。だが、９月実績も下方修正されており、労働市場の軟化を示している。
ＦＲＢはまた、保有資産の縮小が数カ月前に思っていたほど容易ではないことに気づくかもしれない。ＦＲＢが短期金利を管理する金融調節手段の一つであるリバースレポ・ファシリティー（ＲＲＰ）は、過剰な市場流動性の代替手段だとしばしば見なされる。ＲＲＰは今月１日には１５５０億ドルまで減少し、過去３年半で最低となった。 ＲＲＰが完全に使い果たされた場合、さらなる量的引き締めによって流出する流動性は「過剰」流動性ではなく、銀行の準備金となる。そしてＦＲＢは、準備金の急減が金融市場の混乱を招いた２０１９年９月の二の舞を避けるため、準備金の削減にほぼ間違いなく慎重になるだろう。一方、もしも買う動きが止まれば、最後の手段である買い手が介入しなければならなくなる。もちろん、その買い手とはＦＲＢだ。そのことは市場がＦＲＢへの信頼を失わないことが極めて重要であることを物語っている。
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