東京市場にとって「対岸の火事」と見られていた米債務上限問題の雲行きが怪しくなってきた。6月1日のタイムリミットまでにバイデン米大統領と共和党との間に妥協が生まれる余地が小さく、債務不履行(デフォルト)の可能性が高まっている。
そのケースでは、日本への波及も「大打撃」を生じさせるほどにはならず、ドル/円は130円前後の円高、日経平均は2万8000円程度までの下落で収まるとの観測がある。しかし、今回は過去3回とは、全く異なった状況が2つ存在している。1つは、3月に発生した地銀破綻によって注目され出した預金流出問題だ。米連邦準備理事会(FRB)による大幅な利上げによって保有する米国債などの投資債券に大規模な含み損を抱えている状況は、破綻した地銀3行と健全なその他の地銀とに大きな差はない。米連邦預金保険公社(FDIC)は25万ドル(約3300万円)まで米国における預金を保護しているが、危機の波及を回避するために特例で全額保護を打ち出そうとしたときに、連邦債務の上限問題がネックになって実行できないという展開も予想される。2つ目は、商業用不動産を投資対象にした不動産投資ファンドに逆回転の解約圧力がかかることだ。もともと米国の商業用不動産は、新型コロナウイルスの感染拡大を経て自宅勤務が増えた影響を受け、低品質な物件の価値が急落していた。米国のオフィス空室率が今年1─3月期に20%台に乗せたとのデータもあり、暗雲が垂れ込め
そこに米国のデフォルトというニュースが飛び込めば、投資している個人投資家の解約を誘発するリスクがかなり高まることになるだろう。解約を直ちに認めるオープンエンド型の不動産投資ファンドはかなりの部分を占めているとみられ、解約に応じられない場合は破綻となってしまう。
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