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これが4部?ラインメール青森に見たJFLのツボ - サカバカ日誌 - サッカーコラム : 日刊スポーツ

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これが4部?ラインメール青森に見たJFLのツボ サカバカ日誌 JFL 東京武蔵野ユナイテッドFC ラインメール青森

1991年入社のサッカー大好き記者。年代・カテゴリーを問わず、サッカーの話題を書いていきます。2010年のサッカーW杯南アフリカ大会期間中、現地から連載した「サカバカ日誌」をリニューアル。日本代表やJリーグの陰に隠れがちなアマチュアリーグや大学、育成年代などドメスティックな話題を取り上げていきます。日本フットボールリーグ(JFL)が3月14日、開幕した。草木が生い茂る弥生、例年以上に日差しが暖かい。2020年から続くコロナ禍での2年目のシーズンの始まり。陽光に誘われるように、東京・武蔵野市陸上競技場での東京武蔵野ユナイテッドFC-ラインメール青森戦へと足を運んだ。J1から数えると「4部」リーグに当たる。ただ、4部と侮ることなかれ。どこのチームにもいい選手はそろっており、サッカー好きにとって見どころは尽きない。初めて見たラインメール青森もまた、興味をそそられるチームだった。序盤こそ、縦へと展開する大味感のある印象を抱いた。だが、これは試合を安定させるための意図的な入り。すぐにチームは別の顔を見せた。ボランチの差波(さしなみ)優人がDFラインまで降りると、そこを起点にテンポのいいショートパスが回る。GK廣末陸もペナルティーエリアから飛び出し、ビルドアップに加わる。縦へ大きく蹴ることなく、幅を使ってボールを動かしていく。 中盤を構成する小幡純平、水谷侑暉らが細かくパス交換しながらボールをつなぎ、東京武蔵野が前へ奪いにかかると、テンポ良くギャップを突いた縦パスが入ってくる。左サイドに入ったMF菊池大樹がタイミング良く飛び出しては、次々とチャンスをつくった。遊び心が感じられる、魅惑の攻撃スタイルだった。 試合は前半13分、FW山田雄太が左サイドの菊池へつなぎ、そこから斜め前方へ送った鋭いパスに、FW坂東篤が右足ワンタッチでゴールへと流し込んだ。その後も終始、ボールポゼッションを繰り返し、前半を1-0で折り返した。 1点を追う東京武蔵野は後半、スピードのあるMF伊藤大祐を入れ、粘り強い守備からカウンター攻撃に活路を見いだした。そんな相手の術中にはまり、後半6分にその伊藤に得点を許し、1-1の同点とされた。膠着状態となった後半19分、青森は2枚替え。その1人は、横浜F・マリノスからレンタル移籍してきた津久井匠海、18歳だった。昨年夏にユース所属ながら、マリノス史上初の高校生でのプロ契約を結んだ(※過去の高校生選手は2種登録での出場)。世代別代表の常連メンバーで、将来性豊かな注目のFWだ。だが青森では「MF」で登録されており、入ったポジションはなんと右サイドバックと、DFだった。その起用法に驚かされた。 注目の津久井は、177センチ、75キロというサイズ以上に大きく見えた。がっちりした体形に加え、見た目もワイルドで、高校を卒業したばかりの選手とは思えない。当たり負けしない激しい1対1に強そうな闘争心、鋭い出足。持ち前のポテンシャルを随所に垣間見せていた。 試合は後半35分、東京武蔵野が鋭くボールを縦へ展開し、FW田口光樹のビューティフルゴールで勝ち越しに成功。だが敗色濃厚だった青森も、後半アディショナルタイムに左サイドからのクロスボールを、途中出場したFW行武大希が頭で押し込み、2-2の同点とした。最後まで見どころたっぷりの開幕戦だった。青森を率いるのは、ヴィッセル神戸でGM、監督経験があり、JFAナショナルコーチなど指導歴が豊富な安達亮監督だった。青森へ赴任して2カ月。今後へ期待を抱かせるポゼッションスタイルを披露したが、「まだまだ判断が悪いし、きちんとボールを動かせないといけない。(ポジショニングの)幅が狭すぎた。納得していません」。そして、布陣の並びを問われると「システムにはこだわっていません」。 この言葉が私の琴線に触れた。実際に試合当初は3バックと思った並び(メンバー表は3-5-2だった)が4バックだったり3バックに変化したり。状況や時間帯に応じ、選手が自在にポジションを入れ替わる互換性のある動きが目立った。型にはまらない有機的組織。そこが見ていて、最も心をつかまれた部分だった。 津久井を右サイドバックで起用した背景も腑に落ちた。「相手左サイドの23番(伊藤)が速かったので、フィジカルが強くスピードのある津久井を当てた。(攻撃に出て行く)前への推進力もある」(安達監督)。相手の鉾(ほこ)を抑えると同時に、逆襲の一手にすり替える。その戦術眼に触れ、あらためてサッカーとは相手あってのもの、相対性のスポーツだと思った。日本の4部とはいえ、JFLにはさまざまな「ツボ」がある。この日、青森の後方から攻撃のタクトを振るった差波。昨季は東京武蔵野の所属選手だった。東京武蔵野の池上寿之監督は「彼のプレーはよく分かっている。パスはいくら回されてもいい。ただドリブルで(ゴールへ)運んでくる選手ではないので。大学(明大)の後輩でもありますし」と笑った。そんな人の相関性も試合の味付けとなっていた。 その差波は、青森山田高出身で明大で全日本大学選抜にも入り、ベガルタ仙台へと入団した実力派。欧州のクロアチアでもプレーし、過去にはヴァンラーレ八戸にも所属。再び故郷の青森でのプレーを選択した。また、青森のゴールを守ったGK廣末も青森山田高の出だ(出身は東京)。こちらも高校時代から全国的に注目されていた選手で、FC東京からレノファ山口、町田ゼルビアへのレンタルを経て、今季から青森に所属している。コロナ禍で迎える2021年の新たなフットボーラーたちの旅路。サッカーのある日常を噛みしめながら、さまざまなサッカーシーンを見つめたい。【佐藤隆志】(ニッカンスポーツコム/サッカーコラム「サカバカ日誌」).

1991年入社のサッカー大好き記者。年代・カテゴリーを問わず、サッカーの話題を書いていきます。2010年のサッカーW杯南アフリカ大会期間中、現地から連載した「サカバカ日誌」をリニューアル。日本代表やJリーグの陰に隠れがちなアマチュアリーグや大学、育成年代などドメスティックな話題を取り上げていきます。日本フットボールリーグ(JFL)が3月14日、開幕した。草木が生い茂る弥生、例年以上に日差しが暖かい。2020年から続くコロナ禍での2年目のシーズンの始まり。陽光に誘われるように、東京・武蔵野市陸上競技場での東京武蔵野ユナイテッドFC-ラインメール青森戦へと足を運んだ。J1から数えると「4部」リーグに当たる。ただ、4部と侮ることなかれ。どこのチームにもいい選手はそろっており、サッカー好きにとって見どころは尽きない。初めて見たラインメール青森もまた、興味をそそられるチームだった。序盤こそ、縦へと展開する大味感のある印象を抱いた。だが、これは試合を安定させるための意図的な入り。すぐにチームは別の顔を見せた。ボランチの差波(さしなみ)優人がDFラインまで降りると、そこを起点にテンポのいいショートパスが回る。GK廣末陸もペナルティーエリアから飛び出し、ビルドアップに加わる。縦へ大きく蹴ることなく、幅を使ってボールを動かしていく。 中盤を構成する小幡純平、水谷侑暉らが細かくパス交換しながらボールをつなぎ、東京武蔵野が前へ奪いにかかると、テンポ良くギャップを突いた縦パスが入ってくる。左サイドに入ったMF菊池大樹がタイミング良く飛び出しては、次々とチャンスをつくった。遊び心が感じられる、魅惑の攻撃スタイルだった。 試合は前半13分、FW山田雄太が左サイドの菊池へつなぎ、そこから斜め前方へ送った鋭いパスに、FW坂東篤が右足ワンタッチでゴールへと流し込んだ。その後も終始、ボールポゼッションを繰り返し、前半を1-0で折り返した。 1点を追う東京武蔵野は後半、スピードのあるMF伊藤大祐を入れ、粘り強い守備からカウンター攻撃に活路を見いだした。そんな相手の術中にはまり、後半6分にその伊藤に得点を許し、1-1の同点とされた。膠着状態となった後半19分、青森は2枚替え。その1人は、横浜F・マリノスからレンタル移籍してきた津久井匠海、18歳だった。昨年夏にユース所属ながら、マリノス史上初の高校生でのプロ契約を結んだ(※過去の高校生選手は2種登録での出場)。世代別代表の常連メンバーで、将来性豊かな注目のFWだ。だが青森では「MF」で登録されており、入ったポジションはなんと右サイドバックと、DFだった。その起用法に驚かされた。 注目の津久井は、177センチ、75キロというサイズ以上に大きく見えた。がっちりした体形に加え、見た目もワイルドで、高校を卒業したばかりの選手とは思えない。当たり負けしない激しい1対1に強そうな闘争心、鋭い出足。持ち前のポテンシャルを随所に垣間見せていた。 試合は後半35分、東京武蔵野が鋭くボールを縦へ展開し、FW田口光樹のビューティフルゴールで勝ち越しに成功。だが敗色濃厚だった青森も、後半アディショナルタイムに左サイドからのクロスボールを、途中出場したFW行武大希が頭で押し込み、2-2の同点とした。最後まで見どころたっぷりの開幕戦だった。青森を率いるのは、ヴィッセル神戸でGM、監督経験があり、JFAナショナルコーチなど指導歴が豊富な安達亮監督だった。青森へ赴任して2カ月。今後へ期待を抱かせるポゼッションスタイルを披露したが、「まだまだ判断が悪いし、きちんとボールを動かせないといけない。(ポジショニングの)幅が狭すぎた。納得していません」。そして、布陣の並びを問われると「システムにはこだわっていません」。 この言葉が私の琴線に触れた。実際に試合当初は3バックと思った並び(メンバー表は3-5-2だった)が4バックだったり3バックに変化したり。状況や時間帯に応じ、選手が自在にポジションを入れ替わる互換性のある動きが目立った。型にはまらない有機的組織。そこが見ていて、最も心をつかまれた部分だった。 津久井を右サイドバックで起用した背景も腑に落ちた。「相手左サイドの23番(伊藤)が速かったので、フィジカルが強くスピードのある津久井を当てた。(攻撃に出て行く)前への推進力もある」(安達監督)。相手の鉾(ほこ)を抑えると同時に、逆襲の一手にすり替える。その戦術眼に触れ、あらためてサッカーとは相手あってのもの、相対性のスポーツだと思った。日本の4部とはいえ、JFLにはさまざまな「ツボ」がある。この日、青森の後方から攻撃のタクトを振るった差波。昨季は東京武蔵野の所属選手だった。東京武蔵野の池上寿之監督は「彼のプレーはよく分かっている。パスはいくら回されてもいい。ただドリブルで(ゴールへ)運んでくる選手ではないので。大学(明大)の後輩でもありますし」と笑った。そんな人の相関性も試合の味付けとなっていた。 その差波は、青森山田高出身で明大で全日本大学選抜にも入り、ベガルタ仙台へと入団した実力派。欧州のクロアチアでもプレーし、過去にはヴァンラーレ八戸にも所属。再び故郷の青森でのプレーを選択した。また、青森のゴールを守ったGK廣末も青森山田高の出だ(出身は東京)。こちらも高校時代から全国的に注目されていた選手で、FC東京からレノファ山口、町田ゼルビアへのレンタルを経て、今季から青森に所属している。コロナ禍で迎える2021年の新たなフットボーラーたちの旅路。サッカーのある日常を噛みしめながら、さまざまなサッカーシーンを見つめたい。【佐藤隆志】(ニッカンスポーツコム/サッカーコラム「サカバカ日誌」)

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