秋に行われるドラフト会議に向けて、年間400試合以上のアマチュア野球を観戦し、ドラフト中継番組では解説も務めるベースボ…
一昨年夏は東北勢初の甲子園優勝、昨年夏も準優勝と2年連続で見事な戦いぶりを見せた仙台育英。昨年秋は県大会で早々に敗退し、苦しい新チームのスタートとなったが、そんな中で急成長を見せているのが大型右腕の山口だ。ただこれまでチームが出場した甲子園ではメンバー外で、昨年秋の時点でもスカウト陣から名前が挙がっていた選手ではない。山口の評判を聞いたのはチームを指導する須江航監督が選抜高校野球の解説として甲子園を訪れていた時だった。試合後、少し話す時間があったが、その時にこう言っていたのだ。その後、北照と5月に行った練習試合では151キロまでスピードアップしたという。190cmを超える長身でこれだけのスピードがあるだけでも相当な大器であることは間違いない。その実力を確認するべく、春の宮城県大会を訪れた。決勝の対仙台城南戦、先発のマウンドに上がった山口を見てまず感心したのが堂々とした体格だ。上半身も下半身もしっかり鍛えていることがよく分かり、また姿勢も良いため一段とマウンド上で大きく見える。フォームは佐々木朗希(ロッテ)を彷彿とさせるような高い左足の上げ方に特徴があるが、そこからの動きは佐々木とは少し
この日のストレートの最速は148キロで、アベレージでは140キロ台前半と体格ほどの出力の高さはまだ感じられなかったが、それでも豪快な腕の振りもあって打者に与える威圧感は相当なものがあることは間違いない。フォームのところで課題として挙げた、左足の着地が安定して、もっと前に体重が乗ってくるようになれば、楽に150キロ台中盤をマークしそうな雰囲気があった。 山口の武器となっているのはストレートだけではない。大型でありながら変化球も上手く操る器用さを備えているのだ。この日は立ち上がりから大きいカーブを使ってカウントをとり、ストレートを見せ球に使ってフォークで勝負するというパターンが多かったが、どの球種でもフォームが大きく変わることがなかった。最終的に6回を投げて10個の三振を奪ったのも、変化球のレベルが高いという部分も大きかったはずだ。またこの日はトータルで82球を投じて、ボール球は24球でストライク率は70%を超えるなど、制球力があるところも示した。
続く東北大会では準々決勝の弘前学院聖愛戦で5回を投げて6失点(自責点3)と試合を作れずにチームも敗れているように、まだ安定感には乏しいところはあるものの、スケールの大きさは魅力である。夏の宮城大会ではこれまでの悔しさを晴らすピッチングを見せて、さらに評価を上げることを期待したい。
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