【 番記者の視点 】フリエ万歳! たとえ敗れようとも…横浜FCは支える人たちに応える90分を サッカー soccer football
この試合で負けたことへの叱咤。でもイレブンを支えていくという、サポーターの意思を感じた。ブーイングをする方も、好きでやっているわけではない。プロなので結果が出ないと批判を受けるのは当然だ。でもやっぱり、見ていて辛い。 * * *サポーターたちは、想像以上にクラブのためにお金と時間を使っている。ユニホームやグッズに始まり、年間パス、スタジアム飯代、遠征費、ご当地飯にもお金がかかる。横断幕だってすぐにはできない。DAZNに加えて、ルヴァン杯も見るならスカパー契約も必要だ。試合の後には仲間で「感想戦」もやらなきゃいけない。しかし、横浜FCのサポーターは、他に選択肢がある中で、この道を選んだ。何千円も払って、悔しい体験しかできないなんてあんまりだ。そのクラブにも、土日に家族を残して、お客さんの笑顔のために頭を下げているスタッフたちがいる。
だからこそ、なんとかして欲しかった光景だった。後半ロスタイムの4失点目。札幌の細かいパス交換についていけず、ボックス内にGKを含めて9人いて、棒立ちの守備はゴールを破られた。直後、席を立つ人が出た。負けていても何かを期待していた人たちの、心の糸が切れた瞬間だった。 ここまでサッカーの話ではなく精神論になったが、開幕10戦未勝利の今だからこそ、記しておきたかった。プロとして不自由なくサッカーができる環境は、彼らの思いがあるからこそということを、改めて心に刻んで欲しい。試合開始直後の38秒、右サイドMF近藤友喜のスローインから生まれたゴールは、全員の意識がゴールに向いていたからこそ。「スローインは試合前から話していて、狙う通りだった。ふらふらと入っていったら、こぼれてきた。泥臭かったけれど、取れて良かった」とゲームプランとしては最高の入りだった。
だが「今日こそ勝てるかも」という思いを吹き飛ばしたのは強風だった。失点シーンはまさに「風のいたずら」。前半39分、横浜FCのスローインやり直しから、札幌がボールを奪う。MF福森晃斗が苦し紛れに蹴り出したボールは、ぐんぐん伸びた。下がりながらボールを追ったDFンドカ・ボニフェイスは風の影響について認めた上で「自分でも何が起きたかよく分からなくて…。滑ってしまった」。転倒した後も何とか頭でボールに触ったが、フリーの浅野雄也にボールを収められた。そしてわずかな隙間を狙う低いミドルシュートが、これも風にのって伸びるように、ゴール右下隅に突き刺さった。だが前半ロスタイムに逆転を許す。後半も失点を重ね、1―3の後半ロスタイムにグサリと突き刺さる4失点目を喫した。鹿島戦でも見た、力尽きた姿だった。スペイン・セビリアにベティスというよく知られたチームがある。強豪ではない。降格と昇格を繰り返してきたが、熱心的なファンに支えられてきた。「Viva el Betis manque pierda」ベティス万歳!...
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