慶応（神奈川）が昨夏王者の仙台育英（宮城）を８―２で下し、１９１６年の第２回大会以来、史上最長ブランクとなる１０７年ぶり２度目の優勝を果たした。初回に“慶応のプリンス”丸田湊斗中堅手（３年）が夏の甲
子園史上初となる先頭打者本塁打を放つと、１３安打８得点で強力投手陣を攻略した。超満員のアルプス席からの熱烈な応援も追い風に、サラサラヘアで笑顔の似合う慶応ボーイが部訓の“エンジョイ・ベースボール”を完遂。甲子園の歴史に新たな一ページを刻んだ。最後の夏に甲子園を沸かせた。８―２の９回、先頭打者の福井に代わり清原勝児の名前がコールされると、聖地は地鳴りのような歓声に包まれた。「本当にすごい歓声をいただいて、自分は幸せ者だと感じて、感謝しかないです」。１９８３年夏と８５年夏。西武や巨人で活躍した父・清原和博氏（５６）がＰＬ学園で果たした日本一をつかみ取り、親子２代制覇を達成した。
「プレッシャーはなくなったわけではない」。次男にとって、最後の最後まで偉大な父の存在は大きかったが、プレッシャーを力に変えてきた。「先を読んで」と、６回から自ら考えて代打での出番を待った。３ボール１ストライクから外角高めの直球を見極め、四球で出塁。得点にはつながらなかったが、打席に立つだけで甲子園の視線を独り占めするカリスマ性は父譲りだった。父子での優勝に実感はあまりないと率直な思いを明かし、「それより、このチームで日本一になれた。森林さんを日本一の監督に、大村を日本一のキャプテンにできたのが一番うれしい」と爽やかな笑みを浮かべた。 勉学に重きを置く慶応で成績が及ばず留年を経験。高野連の規定で今年が高校野球最後の夏となった。野球を続けるかは決まっていないが、「日本一だけを見ていた。しっかり休んで新たなスタートを切りたい。いろんな人に相談して決めようと思う」と前を向いた。
決勝戦の前には父から「頑張ってこい」とエールを送られた。甲子園では３打数無安打１四球。初戦から全５試合で応援に駆けつけた父の前で快音を響かせることはできなかったが「家族全員が応援してくれて一番の力になった。感謝しかない」と実感を込めた。「日本一になれたっていうことを（父に）素直に報告したいです」。３８年の時を経て、清原が再び夏の頂点に立った。（内藤...
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