慶応（神奈川）が昨夏王者の仙台育英（宮城）を８―２で下し、１９１６年の第２回大会以来、史上最長ブランクとなる１０７年ぶり２度目の優勝を果たした。初回に“慶応のプリンス”丸田湊斗中堅手（３年）が夏の甲
子園史上初となる先頭打者本塁打を放つと、１３安打８得点で強力投手陣を攻略した。超満員のアルプス席からの熱烈な応援も追い風に、サラサラヘアで笑顔の似合う慶応ボーイが部訓の“エンジョイ・ベースボール”を完遂。甲子園の歴史に新たな一ページを刻んだ。あふれんばかりにアルプスを埋め尽くす慶応の大音量の応援に目を見張り、敗色濃厚のチームが終盤に反撃すると、応援団と一緒になって声援を送る。心から高校野球を楽しむファンの姿が印象的だった。５回終了後に設けた１０分間のクーリングタイムは、選手の体調管理に大きな効果をもたらした。大会序盤は、体を冷ましたあと急に炎天下のグラウンドに飛び出したためか、６回以降に足がつる選手もいたが、急激な温度の変化を避けるよう工夫することで、中盤以降は異常をきたすケースが減少した。
仙台育英、八戸学院光星（青森）、花巻東（岩手）と、史上初めて東北から３校が準々決勝に進出。クラーク、北海の北海道勢は、２９年ぶりのダブル初戦突破を果たした。寒冷地のチームの奮闘は、高校野球全体に刺激を与えそうだ。（浜木 俊介） 〇…来春から反発力を抑えた新基準の金属バットが導入されるため、今大会は従来のバットで行われる最後の甲子園だった。本塁打数は計２３本。史上最多の６８本を記録した２０１７年のあと、５大会連続（中止の２０年は除く）の減少となったが、この傾向はより強まりそうだ。ここ３年のセンバツの本塁打数は９、１８、１２本。来春の大会で、どのような数字になるか興味深い。
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