戸郷がノーヒットノーランを達成した５月２４日の阪神戦。細かく見ると伝説の沢村栄治以来という偉業です。それと比べると少し分は悪いが、泉口も歴史的快挙を成し遂げている。
この試合、泉口は５回１死二塁から左前へ値千金のタイムリーを放った。巨人のルーキーが１―０の試合で勝利打点をマークするのは、左打ちでは１９３８年の川上哲治以来、実に８６年ぶり。細かすぎるというか通好みの記録ですね。その負け方が切ない。大阪桐蔭の１点リードで迎えた９回２死一、二塁。相手打者を平凡な遊ゴロに打ち取りゲームセット…とはいかなかった。ショートからの送球を受けた一塁手がまさかのベース踏み損ね。そして、続く打者にサヨナラの逆転打を喫した。
この時、遊撃を守っていたのが泉口。別に悪送球でも何でもないし、誰に非があるワケでもない。いわゆる「甲子園の魔物」というヤツだ。その時に負った傷を、７年後に自分のバットで癒やすなんて。泉口、カッコ良すぎるぞ。 そんなわけで我らが阿部監督。「ミーティングで言ったんだよ。鬼門、鬼門と記者に言われるから、いいかげんに勝とうと」―。それってこっちのセリフですから。マツダスタジアム、満を持しての今季初勝利。耐えて粘って、最後に突き放した。単独首位。僕の好きな言葉です。 それにしても泉口だ。前半戦最大の大一番で、やらずもがなの失点を招いた３回のエラー。「先制命」のチームにとっては致命的なミスだ。だいいち、ここは甲子園と並ぶ「魔物」の２大生息地だぞ。せっかくあっちを克服したのに。
今度もリベンジまで７年かかるのか。いや、ものの数十分あればいい。岡本和が「魔物払い」の逆転３ラン。ルーキーを苦境から救ってくれた。ホッとしたついでか、直後に泉口も右前に運んだ。１８歳の時とは違って、今度は「魔物にのみ込まれる」未遂で終わったようです。何はともあれメデタイな。
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