2024年1月1日に発生した能登半島地震で、通信設備の被災が多発したことを受け、NTT、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルは、事業者間の連携強化策を具体化し、包括的な協力体制を構築。アセットの共同利用、船舶を活用した基地局展開、モバイル・固定通信連携強化などが柱となる。
各社が保有するアセット(設備・施設)の共同利用や、船舶を活用した基地局展開など、能登半島地震での経験を踏まえた具体的な連携強化策を実施する。事務局は12月1日から運営している。2024年1月1日に発生した能登半島地震では、土砂崩れや道路崩壊、津波による被害で多数の通信設備が被災。各社はそれぞれ工夫を重ねながら対応に当たったが、復旧作業の過程で事業者間連携の重要性が浮き彫りとなった。 総務省の情報通信審議会においても能登半島地震での事業者間連携の取り組みが評価され、さらなる推進が期待されていた。このような背景のもと、従来NTTグループとKDDIの間で行っていた「つなぐ×かえる」プロジェクトを基盤に、ソフトバンクと楽天モバイルも参画する形で、より包括的な協力体制の構築へと発展した。 NTT 技術企画部門 災害対策室長の森田公剛氏は協定締結の原動力について「各社、災害復旧に取り組む中で思いは同じだった。被災地で通信が使えなくて不安に思っている方々がいる。その不安を早く取り除いて、日常生活を取り戻していただくために、各社がそれぞれの持てる力を出し合おうという思いで今回の協定に至った」と説明する。アセットの共同利用の一例としては、NTTグループが保有する約7000カ所の通信ビルの空きスペースを他社にも開放する。また、復旧作業用の資材置き場や仮設給油所も共同利用する。さらに、Starlinkなどの衛星通信設備や特殊車両についても共有を進めていく。 船舶の共同活用については、従来NTTグループとKDDIの間で協定を結んでいた船舶の共同利用に、ソフトバンクと楽天モバイルも参画することになった。NTTの「きずな」やKDDIの「オーシャンリンク」「ケーブルインフィニティ」といった海底ケーブル敷設船を活用し、通信設備や物資の輸送、船上基地局の展開を行う。 さらに、モバイル・固定の連携強化として、復旧時にモバイル通信事業者と固定通信事業者の間で、被害状況の把握やネットワークの復旧に必要な設備情報などを共有する。特に、携帯電話基地局から固定回線につながる区間での障害箇所の特定を効率化し、自治体や病院などの重要拠点をカバーするネットワークの復旧を迅速化する。今回の協力体制強化は、能登半島地震での経験が大きな契機となっている。地震発生直後、土砂崩れや道路崩壊、津波により多数の通信設備が被災。基地局アンテナの倒壊、通信ビルの傾斜、地中の管路破損など、さまざまな形態の被害が発生した。 各社は独自の復旧作業を進めながらも、状況に応じて柔軟な連携を実現してきた。NTTとKDDIは海底ケーブル敷設船「きずな」を活用し、陸路での到達が困難だった輪島市町野町沿岸と大沢地区沿岸で船上基地局を共同運用。このとき「きずな」の最上部に衛星通信アンテナを設置し、船上から陸上への通信エリア確保を実現した。 特に半島という地理的特性から、金沢からの復旧作業には長時間を要した。朝に出発しても渋滞で現地到着は夕方になることも多く、実質的な作業時間は限られていた。この課題に対し、各社は知恵を絞って対応。KDDIとソフトバンクは給油拠点を共同利用し、限られた資源を効率的に活用。また通信ビルの空きスペースを活用し、作業員の宿泊場所や資材置き場として運用するなど、前線基地としての活用も進めた。 衛星通信の活用も復旧の重要な要素となった。各社はStarlinkなどの衛星通信を積極的に導入し、地上回線が途絶した地域での通信確保を図った。さらにドローンを活用した中継局の設置や、移動基地局車の展開など、あらゆる手段を組み合わせて復旧にあたった。 避難所への通信提供でも連携が進んだ。4キャリアは避難所ごとに支援を分担し、効率的な通信確保を実現している。例えばソフトバンクは、Starlinkと小型無線機を組み合わせた避難所向けシステムを開発・展開。Wi-Fiルーターを設置することで、全キャリアのスマートフォンをWi-Fiで利用できる環境を整備した。楽天モバイルも同様に、避難所でWi-Fiルーターを活用し、「00000 JAPAN」という無料Wi-Fiサービスを提供。各社が手分けして対応することで、より多くの避難所での通信確保を実現した。 これらの経験を通じて、各社は独自の対策強化を進める一方で、事業者間の連携の重要性を再認識。特に、情報共有の迅速化や、リソースの効率的な活用において、連携が大きな効果を発揮することが明らかになった。今回の包括的な協力体制は、これらの実践的な経験に基づいて構築されている。NTTグループは、半島部の中継伝送路について、従来の2ルートから3ルート化を進める方針を示した。2025年度末までに完了予定で、特に復旧困難な地域については3ルート化を順次進めている。また、アンテナの復旧が困難な地域にはStarlinkを設置するなど、災害に強いネットワークの構築を進めている。 KDDIは、保有する「KDDIオーシャンリンク」「KDDIケーブルインフィニティ」にStarlinkを活用したau基地局を設置。さらに、鳥羽商船高専と連携し、練習船「鳥羽丸」にも同様の基地局設置を2025年3月までに実現する計画だ。 ソフトバンクは、大規模復旧訓練を社員と協力会社170人が参加して実施している。応急復旧機材の増強も進めており、稼働時間が従来比約6倍のインテリジェントタンク、約12倍のLPガスハイブリッド発電機を導入している。また、従来の可搬型衛星アンテナ293台に加え、Starlinkを約500台増強する計画だ。さらに、避難所の通信確保に向けて、Starlinkと小型無線機を組み合わせた避難所向けシステムを開発し、全国の拠点への配備を進めている。 楽天モバイルは、能登半島地震での経験を生かし、1月16日までに340人体制での対応を実現。移動基地局車を40台配備し、約2週間で応急復旧にこぎつけた。今後は基地局予備電源の延命化として、遠隔制御でMIMO(4×4)を(2×4)に変更し、予備電源を約30%延命する取り組みを進める。また、楽天市場や楽天トラベルの持つアセットも活用し、より効果的な災害対応を目指している。将来的な災害対応について、特に首都直下地震や南海トラフ地震といった大規模災害への備えも視野に入れている。楽天モバイル BCP管理本部 本部長の磯邉直志氏は「1社のアセットだけでは早期の応急復旧は困難。今回の協定はわれわれにとって大きな一歩」と強調する。 また、台風などの予測可能な災害については、事前の準備段階から連携を進めることも検討。被害予測に基づく人員配置や機材の事前配備など、より効果的な対応を目指す。森田氏は「発災時だけでなく、事前の準備段階から各社が持っている情報を共有しながら、よりよい対策を検討していきたい」としている。 連携協定は、タワー会社など通信インフラシェアリング事業者との連携も検討していく方針としている。NTTの森田氏は「災害対応だけでなく、さまざまな社会課題に対して各社で連携して取り組んでいきたい」と意欲を示した。なお、この協力体制は「つなぐ×かえる」プロジェクトとして名称が付けられ、事務局メンバーを中心に活動を進めていく。事業者間ローミングについては今回の協定には含まれていないものの、その状況を見ながら活用を検討していくとしている。.
各社が保有するアセット(設備・施設)の共同利用や、船舶を活用した基地局展開など、能登半島地震での経験を踏まえた具体的な連携強化策を実施する。事務局は12月1日から運営している。2024年1月1日に発生した能登半島地震では、土砂崩れや道路崩壊、津波による被害で多数の通信設備が被災。各社はそれぞれ工夫を重ねながら対応に当たったが、復旧作業の過程で事業者間連携の重要性が浮き彫りとなった。 総務省の情報通信審議会においても能登半島地震での事業者間連携の取り組みが評価され、さらなる推進が期待されていた。このような背景のもと、従来NTTグループとKDDIの間で行っていた「つなぐ×かえる」プロジェクトを基盤に、ソフトバンクと楽天モバイルも参画する形で、より包括的な協力体制の構築へと発展した。 NTT 技術企画部門 災害対策室長の森田公剛氏は協定締結の原動力について「各社、災害復旧に取り組む中で思いは同じだった。被災地で通信が使えなくて不安に思っている方々がいる。その不安を早く取り除いて、日常生活を取り戻していただくために、各社がそれぞれの持てる力を出し合おうという思いで今回の協定に至った」と説明する。アセットの共同利用の一例としては、NTTグループが保有する約7000カ所の通信ビルの空きスペースを他社にも開放する。また、復旧作業用の資材置き場や仮設給油所も共同利用する。さらに、Starlinkなどの衛星通信設備や特殊車両についても共有を進めていく。 船舶の共同活用については、従来NTTグループとKDDIの間で協定を結んでいた船舶の共同利用に、ソフトバンクと楽天モバイルも参画することになった。NTTの「きずな」やKDDIの「オーシャンリンク」「ケーブルインフィニティ」といった海底ケーブル敷設船を活用し、通信設備や物資の輸送、船上基地局の展開を行う。 さらに、モバイル・固定の連携強化として、復旧時にモバイル通信事業者と固定通信事業者の間で、被害状況の把握やネットワークの復旧に必要な設備情報などを共有する。特に、携帯電話基地局から固定回線につながる区間での障害箇所の特定を効率化し、自治体や病院などの重要拠点をカバーするネットワークの復旧を迅速化する。今回の協力体制強化は、能登半島地震での経験が大きな契機となっている。地震発生直後、土砂崩れや道路崩壊、津波により多数の通信設備が被災。基地局アンテナの倒壊、通信ビルの傾斜、地中の管路破損など、さまざまな形態の被害が発生した。 各社は独自の復旧作業を進めながらも、状況に応じて柔軟な連携を実現してきた。NTTとKDDIは海底ケーブル敷設船「きずな」を活用し、陸路での到達が困難だった輪島市町野町沿岸と大沢地区沿岸で船上基地局を共同運用。このとき「きずな」の最上部に衛星通信アンテナを設置し、船上から陸上への通信エリア確保を実現した。 特に半島という地理的特性から、金沢からの復旧作業には長時間を要した。朝に出発しても渋滞で現地到着は夕方になることも多く、実質的な作業時間は限られていた。この課題に対し、各社は知恵を絞って対応。KDDIとソフトバンクは給油拠点を共同利用し、限られた資源を効率的に活用。また通信ビルの空きスペースを活用し、作業員の宿泊場所や資材置き場として運用するなど、前線基地としての活用も進めた。 衛星通信の活用も復旧の重要な要素となった。各社はStarlinkなどの衛星通信を積極的に導入し、地上回線が途絶した地域での通信確保を図った。さらにドローンを活用した中継局の設置や、移動基地局車の展開など、あらゆる手段を組み合わせて復旧にあたった。 避難所への通信提供でも連携が進んだ。4キャリアは避難所ごとに支援を分担し、効率的な通信確保を実現している。例えばソフトバンクは、Starlinkと小型無線機を組み合わせた避難所向けシステムを開発・展開。Wi-Fiルーターを設置することで、全キャリアのスマートフォンをWi-Fiで利用できる環境を整備した。楽天モバイルも同様に、避難所でWi-Fiルーターを活用し、「00000 JAPAN」という無料Wi-Fiサービスを提供。各社が手分けして対応することで、より多くの避難所での通信確保を実現した。 これらの経験を通じて、各社は独自の対策強化を進める一方で、事業者間の連携の重要性を再認識。特に、情報共有の迅速化や、リソースの効率的な活用において、連携が大きな効果を発揮することが明らかになった。今回の包括的な協力体制は、これらの実践的な経験に基づいて構築されている。NTTグループは、半島部の中継伝送路について、従来の2ルートから3ルート化を進める方針を示した。2025年度末までに完了予定で、特に復旧困難な地域については3ルート化を順次進めている。また、アンテナの復旧が困難な地域にはStarlinkを設置するなど、災害に強いネットワークの構築を進めている。 KDDIは、保有する「KDDIオーシャンリンク」「KDDIケーブルインフィニティ」にStarlinkを活用したau基地局を設置。さらに、鳥羽商船高専と連携し、練習船「鳥羽丸」にも同様の基地局設置を2025年3月までに実現する計画だ。 ソフトバンクは、大規模復旧訓練を社員と協力会社170人が参加して実施している。応急復旧機材の増強も進めており、稼働時間が従来比約6倍のインテリジェントタンク、約12倍のLPガスハイブリッド発電機を導入している。また、従来の可搬型衛星アンテナ293台に加え、Starlinkを約500台増強する計画だ。さらに、避難所の通信確保に向けて、Starlinkと小型無線機を組み合わせた避難所向けシステムを開発し、全国の拠点への配備を進めている。 楽天モバイルは、能登半島地震での経験を生かし、1月16日までに340人体制での対応を実現。移動基地局車を40台配備し、約2週間で応急復旧にこぎつけた。今後は基地局予備電源の延命化として、遠隔制御でMIMO(4×4)を(2×4)に変更し、予備電源を約30%延命する取り組みを進める。また、楽天市場や楽天トラベルの持つアセットも活用し、より効果的な災害対応を目指している。将来的な災害対応について、特に首都直下地震や南海トラフ地震といった大規模災害への備えも視野に入れている。楽天モバイル BCP管理本部 本部長の磯邉直志氏は「1社のアセットだけでは早期の応急復旧は困難。今回の協定はわれわれにとって大きな一歩」と強調する。 また、台風などの予測可能な災害については、事前の準備段階から連携を進めることも検討。被害予測に基づく人員配置や機材の事前配備など、より効果的な対応を目指す。森田氏は「発災時だけでなく、事前の準備段階から各社が持っている情報を共有しながら、よりよい対策を検討していきたい」としている。 連携協定は、タワー会社など通信インフラシェアリング事業者との連携も検討していく方針としている。NTTの森田氏は「災害対応だけでなく、さまざまな社会課題に対して各社で連携して取り組んでいきたい」と意欲を示した。なお、この協力体制は「つなぐ×かえる」プロジェクトとして名称が付けられ、事務局メンバーを中心に活動を進めていく。事業者間ローミングについては今回の協定には含まれていないものの、その状況を見ながら活用を検討していくとしている。
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