昨年10月、いわゆる「性同一性障害特例法」に対する違憲決定が最高裁から出された。性別変更に際して身体への侵襲を伴う――生殖腺除去を求める要件が違憲とされたのである。また、移行する性別に合致した性器の外観を求める要件も複数の反対意見の中で批判され、これについても違憲判断が下されるのは時間の問題だろうというのが大方の意見の一致を見ている状況である。
弁護士や法学者などによる本決定への評価はおおむねそれを「海外の趨勢(すうせい)」とも合致した「進歩的なもの」とする肯定的なものであったが、実際に最高裁から出された決定を仔細に読み込むと、そこには少なからぬ問題があるように思われた。筆者は、今年3月末に自民党政調「性的マイノリティーに関する特命委員会」に呼ばれた際、この最高裁決定への批判的意見を述べて来た。本決定(法廷意見)は一本ハッキリと筋の通ったストーリー展開とでも言えるものを有する点で理解しやすく(読みやすく)、そこには最高裁としての統一された強い意志が感じられるが、以下のような疑問を生じさせるものだったからである。
この問題は、違憲決定の対象となったのが「非訟事件(手術なしでの性別変更を求めた家事審判)」であることに起因している可能性が考えられる。非訟事件は通常の訴訟事件とは違い、公開の法廷で口頭弁論を開く対審構造をとらない。つまり、本件では「特例法が合憲である」という立場から議論を尽くす当事者が存在せず、法令の根拠となる「立法事実」の収集に遺漏があったのではないかという疑いが生じるのである。さらに特例法は議員立法であり、その点、通常立法のほとんどを占める内閣立法(閣法※)とは性格を異にしている点でも、最高裁側の立法事実の知悉度(収集の度合い)が本当に十分なものであったのかについて、本法制定時の立法関係者からも少なからぬ疑問が呈されている。
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