NTTコミュニケーションズは、高速通信技術 IOWN APN を用いた分散GPUクラスタの実証実験を実施し、従来の単一データセンター環境と比べて処理速度に大きな差がないことを確認しました。実証では、LLM事前学習やストレージアクセス性能を計測し、IOWN APN経由での分散処理がインターネット回線と比べて大幅に高速であることが示されました。
張氏は、GPU over APN で想定される2種類のユースケースを示した。GPUクラスタのノードを2つのデータセンターに分散配置するもの(ユースケース1)と、一方のデータセンターにあるGPUクラスタが APN 経由で他方のデータセンターにあるストレージに接続してデータの読み書きを行うもの(ユースケース2)だ。今回は両方のユースケースで実証実験を行っている。ユースケース1では、 LLM 「Llama 2 7B」の事前学習を2ノードで分散処理するワークロードを実行した。2つのノード間を、100Gイーサネット(単一データセンター内)、100G IOWN APN (分散データセンター)、300Mbps/遅延15msの模擬インターネット(分散データセンター)という3つのネットワークで接続し、処理に要する時間をそれぞれ算出している。なお、分散データセンター間はおよそ40kmの距離がある。
前述したとおり、IOWN APN経由の分散GPUクラスタにおける処理時間は、単一データセンター内のそれとほぼ変わらない(1.006倍)ことがわかった。ちなみに、模擬インターネットを使った分散処理の場合はおよそ29倍の時間がかかるという結果も出ており、IOWN APNの優位性が示されている。 もうひとつのユースケース2では、GPUクラスタからストレージサーバーへのNFSアクセス性能を、上述した3種類のネットワークで計測した。こちらも、IOWN APN経由で読み出し処理にかかる時間は、単一データセンター内の1.
ただし今回の実証環境は、LLMの分散学習処理としては小規模なクラスタ構成(2ノード)によるものだ。張氏も「今回の実証は小規模な環境で、比較的軽量な処理を試したもの」であることを強調したうえで、今後はさらにノード数規模やワークロードを拡大させた実証実験も行いながら、「最終的には、大規模なGPUクラスタを使いたいお客様に役立つものに仕上げたいと考えている」と述べた。 NTT Comでは、国内70拠点以上のデータセンター間を接続できる100GbpsのIOWN APNサービス「APN専用線プラン powered by IOWN」や、液冷方式に対応し1ラックあたり最大80kWの冷却能力を持つコロケーションサービス「Green Nexcenter」、顧客専有型のマネージドGPUサーバー環境「GPUプラットフォーム」などをすでに提供している。今回の技術をこれらのサービスに組み合わせた“GPUクラウドソリューション”の商用提供を目指す方針だ。なおNTT Comでは、10月10日と11日に開催する年次イベント「docomo business Forum '24」(会場:ザ・プリンス パークタワー東京)で、今回の「GPU over APN」実証結果を含むIOWN関連展示を行う。
コンピューティング IOWN APN 分散GPUクラスタ LLM ストレージアクセス性能
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