AWS re:Invent 2025での基調講演において、AWSのエージェンティックAI部門VPが、AIエージェントの進化と、AIエージェントの構築、展開、運用を支援するプラットフォーム「Amazon Bedrock AgentCore」の役割について発表しました。開発や運用における課題、そして本番環境への移行の課題に対するAWSの解決策が示されました。
12月1日から開催されたAmazon Web Servicesの大型イベント、 AWS re:Invent 2025。その3日目の基調講演に、 AWS のエージェンティックAI部門VPであるスワミ・シバスブラマイアン氏が登壇した。シバスブラマイアン氏は、 AIエージェント の専門家として、 AIエージェント の持つ価値や具体的な活用事例を紹介すると共に、開発や運用における課題に焦点を当て、 AWS の新たな取り組みについて言及した。特に注目すべきは、Amazon Bedrock
AgentCoreを中心とした新サービスの発表であり、AWSが考えるAIエージェントの育成戦略が明らかになった。生成AIの急速な発展から3年が経過し、今年はAIエージェントへの関心が一段と高まっている。従来のチャットボットが自然言語による応答を提供するにとどまっていたのに対し、AIエージェントは、人間や他のシステムに代わって自律的にタスクをこなす能力を持つ。この変化は、AIに対する信頼の向上を反映していると言えるだろう。AIエージェントは、「AIを活用してユーザー定義の入力を洞察し、計画し、適応させ、人間や他のシステムに代わってタスクを完了する自律型ソフトウェアシステム」と定義されており、シバスブラマイアン氏は基調講演で「デジタル環境を感知して相互作用し、高レベルの目標を実行可能なステップに変換し、時間の経過とともに継続的に学習し、効率を上げることができる」と説明した。ビジネスシーンにおけるAIエージェントへの期待は大きく、単なる情報提供に留まらず、問題解決までを主体的に担うことに期待が寄せられている。例えば、Webトラフィックの減少という課題に対し、従来のチャットボットは関連情報を提示するだけだが、AIエージェントはデータ分析、影響を受けたコードの特定、システムへの問い合わせ、ログ収集、エラー特定、バグチケットの発行、修正案の提案までを自律的に行うことが可能になる。シバスブラマイアン氏は講演で、AIエージェントがソフトウェア開発、医薬品研究、精密農業、建築設計など、様々な産業を変革しつつあると述べ、「人間が直接操作できるユーザーインターフェイスを持つ能力は、ソフトウェアの構築方法を根本的に変えている。有用なソリューションを実現するための技術的な障壁を劇的に低減している」と強調した。AIエージェントは、学習、推論、実行という3つの役割を担う「モデル」、個性や能力を規定する「コード」、外部APIやデータベースにアクセスするための「ツール」という3つの主要コンポーネントで構成され、これらが連携して動作する。しかし、これらのコンポーネントを統合するための開発は複雑で、専門知識が必要となる。多くの開発者は、あらゆるシナリオに対応するために、複雑な意思決定ツリーやステートマシン、厳格な事前ワークフローをハードコーディングしなければならず、その結果、保守が困難になり、変化の激しい環境への適応が難しくなるという課題に直面していた。この課題を解決するため、AWSはフレームワークというアプローチを採用し、「Strands Agents SDK」というオープンソースSDKを提供している。これは、LLM(大規模言語モデル)を活用したAIエージェント開発の効率化とコード量の削減に貢献し、5月からの公開以降、すでに529万ダウンロードを記録している。今回のre:Inventでは、TypeScriptとエッジデバイスへの対応も追加された。開発環境の整備が進む一方で、多くのAIエージェントプロジェクトはPoC(概念実証)の段階から抜け出せず、本番環境への移行が課題となっている。大規模かつ迅速な展開、セキュリティの確保、システム間のスムーズな連携、対象業務の学習、複雑なワークフローの処理、運用監視、デバッグなど、本番環境特有の要件がPoCでは考慮されないことが多く、優れたプロトタイプができても、本番環境ではメンテナンスの困難に直面し、複雑性がイノベーションを阻害するという状況が生じている。こうした課題を解決するために開発されたのが、AIエージェントの構築、展開、運用を支援するプラットフォームである「Amazon Bedrock AgentCore」である。このプラットフォームは、ランタイム、メモリ、ゲートウェイ、ID管理、監視、コード変換、管理ツールなど、複数のモジュールで構成されており、利用者は自身のニーズに合わせて必要なモジュールを選択できる。「みなさんはビジネスの課題に役立つような画期的な体感の創出に集中できる」とシバスブラマイアン氏は語った。Amazon Bedrock AgentCoreのゲートウェイモジュールには、新たに「Policy in Amazon Bedrock AgentCore」が導入された。これは、AIエージェントが利用するツールへのアクセス権限を制御するためのポリシー設定機能であり、開発者の意図に基づいたアクセス範囲を保証する。さらに、AIエージェントのパフォーマンスを継続的に評価するための「Evaluations」モジュールも追加された。これは、応答の正確性、忠実性、有害性の有無など、13種類の組み込み評価機能を提供し、応答の品質を維持する。また、メモリ機能も強化され、短期記憶と長期記憶に加え、過去の対話や複数の対話にまたがる記憶に基づいた応答を可能にする「Amazon Bedrock AgentCore Memory episodic functionality」が導入された。これにより、ユーザーの行動背景を考慮した、より自然で役に立つ応答を実現する。例えば、旅行をスムーズにするAIエージェントにおいて、従来のモデルでは個人の旅行と家族旅行の違いを考慮できなかったが、この機能により、子供連れで荷物が多い場合の空港での手続きなど、状況に応じた適切な対応が可能になる
AWS Re:Invent AIエージェント Amazon Bedrock Agentcore 生成AI
日本 最新ニュース, 日本 見出し
Similar News:他のニュース ソースから収集した、これに似たニュース記事を読むこともできます。
カスタムシリコンがAIの未来を切り拓く AWSが自社開発チップの好調ぶりをアピール2025年12月1日、Amazon Web Services(AWSはフラグシップイベント「AWS re:Invent 2025」を開催。2日の基調講演に登壇したAWS CEOのマット・ガーマン氏は、AIに関する新発表を行ない、NVIDIA GB300を搭載した新インスタンスや特定顧客向けのAIインフラである「AWS AI Factories」などを発表。AWSオリジナルのAIチップであるTrainiumの好調ぶりも合わせてアピールした。
続きを読む »
3強LLMの時代、Amazon BedrockはなぜマニアックなAIの品揃えにこだわるのか?ラスベガスで開催中のAmazon Web Servicesのフラグシップイベント「AWS re:Invent 2025」。AI開発プラットフォームである「Amazon Bedrock」では、今年も選択できる基盤モデルが続々と追加された。大規模言語モデル(LLM)がOpenAI、Claude、Geminiの3強に収斂する昨今、AWSはオープンソースや新興AIプロバイダーの基盤モデルにこだわりを見せる。
続きを読む »
AWS re:Invent 2025:ガーマンCEO、ノンAI新発表を10分LTで語る!AWS re:Invent 2025の基調講演で、マット・ガーマンCEOがAI関連発表後、ノンAI系の膨大な新サービスを10分のLT形式で発表。Amazon EC2の新しいインスタンス、AWS Lambda Durable Functionsなど、レガシーAWSファンも唸る内容を詳細にレポート。
続きを読む »
AWS re:Invent 2025:ガーマンCEOがノンAI発表に挑む10分LTAWS re:Invent 2025の基調講演で、マット・ガーマンCEOがAI関連の発表に続き、ノンAI系の新サービスと機能を10分間のLT(Lightning Talk)形式で発表。Amazon EC2の新しいインスタンス、AWS Lambda Durable Functionsなど、レガシーAWSファンも魅了する多数のアップデートを紹介。
続きを読む »
『『AWS re:Invent 2025』注目の最新情報をNTT東日本の独自視点で解説』というテーマのウェビナーを開催『『AWS re:Invent 2025』注目の最新情報をNTT東日本の独自視点で解説』というテーマのウェビナーを開催 マジセミ株式会社のプレスリリース
続きを読む »
AWSが発表したArm CPU「Graviton5」とAI ASIC「Trainium3」の詳細Amazonの関連会社で、クラウドサービス事業者(CSP)のAWS(Amazon Web Services)は、12月1日~12月5日に同社の年次イベント「re:Invent 2025」を、米国ネバダ州ラスベガス市の会場で開催している。
続きを読む »




