<社説>米兵被疑者を基地移送 県警は直ちに身柄請求を - 琉球新報デジタル
塾などを運営する那覇市泊の尚学院で2日未明、米兵の男が出入り口のドアを壊して建物内に侵入する事件が発生した。生徒たちが学ぶ施設を破壊し、侵入したことは断じて許されない。さらに深刻なのは、那覇署の警察官の目の前で米軍側が米兵を確保し、基地内に移したことだ。到底認めることはできない。
那覇署は署員を現場に派遣したが、事件発生時、米兵が負傷していたことや、現場の状況などから事件への関与が特定できたとして、基地内の病院への搬送を認めた。同署は今後、基地内から署に呼び出して、任意で取り調べを進めるとしている。外務省はホームページで、日米地位協定に関する問答集「日米地位協定Q&A」を公開している。この中で米軍人が日本で犯罪を犯しても米側が身柄を渡さないのは不公平ではないか、との問いに対し、同省見解として「日本の警察が現行犯逮捕などで米兵や米軍属の身柄を確保した場合は、身柄は日本側が確保し続ける」と回答している。 今回の事件に当てはめてみると、那覇署は現場で米兵が建造物損壊と建造物侵入に関与したと特定しており、現行犯逮捕できる状況にあった。被疑者が負傷し、治療が必要であるならば那覇署が監視下に置ける近隣の病院に搬送すれば、事情聴取や現場検証を速やかに実施でき、早期解決にもつながる。被疑者の身柄を基地内へ移送することは、日本の主権に関わる問題だ。1995年の米兵による少女乱暴事件では県警の逮捕同意請求を米軍が拒否した。直後の県議会で、当時の片桐裕県警本部長は「同種事件の他の被疑者との公平の観点、県民感情を考慮し、身柄を拘束して捜査することが望ましく、効率的」と答えている。
県警や外務省は、米軍関係者の犯罪を米側に配慮して特別扱いするのではなく、日本人と同じように公平公正の観点で対処すべきだ。過剰な基地負担ゆえに県民は米軍絡みの事件事故に巻き込まれるリスクに日常的にさらされている。特権的な対応を許す限り、県民の安心・安全を損なう事件も繰り返される。
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