今月と来月、東京・歌舞伎座の坂東玉三郎(74)から目が離せない。「秀山祭九月大歌舞伎」(25日まで)の「妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)では、尾上松緑(49)の長男、尾上左近(18)を相手
役に抜てき。「錦秋十月大歌舞伎」(2~26日)では黄金コンビ、片岡仁左衛門(80)との「婦(おんな)系図」の一方で、光源氏に市川染五郎(19)を起用して「源氏物語」に出演する。可能性を秘めた若手の抜てきは「いま急ぐことが大事だと思った」と明かす。そこには歌舞伎界の将来を見据えた考えがあった。(内野 小百美)
今月は「妹背山―」で雛鳥(尾上左近)の恋人、久我之助を、10月は光源氏を演じる染五郎。映像ではNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」での木曽義高の繊細な演技を記憶している人も多いだろう。歌舞伎界にとっても若きスター候補だ。先ごろ、「源氏物語」のポスター撮影で玉三郎は染五郎に驚いたという。 「ものすごく絵がうまいのね。きれいに(化粧で)顔描いてきて、源氏になってきたの」と感心した上で、「今回は『六条御息所の巻』で源氏物語全てをやるわけではありません。彼はものすごく素直でまっすぐ。ナイーブというか。お父さん(松本幸四郎)ともまた違った品がある。源氏ではそこをもう少し引き出し、もっとシンプルにできれば」とイメージを膨らませる。歌舞伎の世界では、父親や祖父がいる者は、時間の大半をそのそばで修業する。左近も、染五郎も父親が健在だ。「私がこういうことをしているのは、本当はせんえつなことかもしれないんです。なので、それぞれお許しを得た上で今回があります。でも彼らのこれからのことを本当に考えると、ご家族でない人とも触れるのは大事なことだと思いますね」
そして玉三郎は最も大事なことに言及した。「3年、5年待ってしまったら、共演できるかどうか分かりませんからね。ちょっと急いだところもあります。いまのうちに10代、20代の子たちと会っておきたい、という気持ちが私自身に強いんですね」。目が離せない歌舞伎座のこの2か月間。新たに築かれる歌舞伎史の大きな転機になろうとしている。
日本 最新ニュース, 日本 見出し
Similar News:他のニュース ソースから収集した、これに似たニュース記事を読むこともできます。
兵庫県知事パワハラ問題 斎藤知事は「身を切る改革」より「腹を切る覚悟」を 安積明子 ニュース裏表全国的ニュースとなっている兵庫県の斎藤元彦知事(46)の「パワハラ・おねだり体質疑惑」。8月30日に行われた県議会の調査特別委員会(百条委員会)では、改めて…
続きを読む »
ニュース裏表 安積明子 百条委でさらに混迷 兵庫県知事パワハラ問題 地位に留まる意向の斎藤知事は「身を切る改革」より「腹を切る覚悟」を全国的ニュースとなっている兵庫県の斎藤元彦知事(46)の「パワハラ・おねだり体質疑惑」。8月30日に行われた県議会の調査特別委員会(百条委員会)では、改めて斎藤知事...
続きを読む »
坂東玉三郎、8年ぶり「妹背山」定高役に意欲「松緑さん、染五郎さん、左近さんと上演できることが大変光栄」歌舞伎俳優の坂東玉三郎が1日、東京・歌舞伎座で初日を迎えた「秀山祭九月大歌舞伎」(25日まで)の夜の部「妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)」で女形の大役...
続きを読む »
坂東玉三郎、8年ぶり「妹背山」定高役に意欲「松緑さん、染五郎さん、左近さんと上演できることが大変光栄」歌舞伎俳優の坂東玉三郎が1日、東京・歌舞伎座で初日を迎えた「秀山祭九月大歌舞伎」(25日まで)の夜の部「妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)」で女形の大役である太宰後室定高を演じた。
続きを読む »
幸四郎&菊之助、亡き吉右衛門の思いを継ぐ「勧進帳」に「精神を受け継いで体現」歌舞伎俳優の松本幸四郎(51)、尾上菊之助(47)が31日、都内で「歌舞伎座『秀山祭九月大歌舞伎』夜の部『勧進帳二代目播磨屋八十路の夢』」の取材会を行った。「秀山祭」は、...
続きを読む »
松本幸四郎が叶える、吉右衛門さんの「八十路の夢」 「秀山祭九月大歌舞伎」で弁慶演じる重責語る松本幸四郎(51)が東京・歌舞伎座「秀山祭九月大歌舞伎」(1~25日)で、3年5か月ぶりに「勧進帳」(夜の部)の弁慶を演じる。タイトルに「二代目播磨屋 八十路の夢」と添えられているように叔父で人間国
続きを読む »