世論の厳しい批判がやまぬ中、改正政治資金規正法が19日に成立した。岸田文雄首相は政治改革の実現のため「火の玉」になると宣言したが、改正法は骨抜きが目立ち、深刻な政治不信は払拭できないままだ。野党は政権交代を訴えて対決姿勢を強め、自民党内では「ポスト岸田」への動きが表面化。首相の政権基盤は揺らいでいる。
「政治にコストがかかるのは当然だ。禁止、禁止、禁止で現実を見ない案であってはならない」。3年ぶりに開かれた19日の党首討論で、首相は改正法の成立を受け、開き直ったかのように語気を強めた。
裏金事件の発覚後、首相は国民感情と自民党のはざまで右往左往を繰り返した。1月に突如、岸田派解散を宣言した一方、3000万円近い不記載があった安倍派の萩生田光一前政調会長の処分や、キーパーソンと目される森喜朗元首相への事情聴取は形ばかりに終わらせた。「規正法は会期内に成立させなければ」。法改正の審議が本格化した5月、首相は周囲にこう語った。ただ、法改正を急いだことが、皮肉にも権力基盤の亀裂を生む。参院特別委員会での採決を前に、首相は18日、麻生氏、茂木敏充幹事長との「3者会合」に臨んだが、規正法は話題に上らなかった。同日夜には、麻生氏と二人きりで3カ月ぶりに会食。この後、首相は側近にほっとした口ぶりで「麻生さんと話ができてよかった」と語った。19日の党首討論で立憲民主党の泉健太代表は、自民を「抵抗勢力」と位置付け、「規正法改正が良いか悪いか、信を問おうじゃないか」と衆院解散を迫った。これに対し、首相は憲法改正論議に触れ、「進めてもらうことを約束してもらえないか」と反撃する一幕もあった。
もっとも、改憲などで政権への協力姿勢をにじませていた日本維新の会や国民民主党は党首討論で、首相退陣を相次いで要求。維新の馬場伸幸代表は「もはやこれまで。責任を持って仕事ができる首相にバトンを渡してほしい」と突き放した。自民内では19日、「ポスト岸田」と目される石破茂元幹事長、高市早苗経済安全保障担当相がそれぞれ勉強会を開いた。茂木氏も2012年の衆院選で初当選した国会議員らの会合に出席し、夜には首相と距離を置く菅義偉前首相と会食。党内では「茂木氏が総裁選出馬の動きを強めている」との見方が出ている。
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