食べられるスプーンやストロー 脱プラスチックで脚光
おから、ビーツ、抹茶、カボチャ、いぐさ。国産野菜を原料に用い、丸ごとパクっと食べられる――。「PACOON(パクーン)」という名の、手のひらサイズのスプーンが、脱プラスチックの波に乗って脚光を浴びている。例えば、おからは、食物繊維がゴボウの2倍含まれるため「おなかの調子をサポート」、ビーツは栄養価が高い「スーパーフード」、抹茶は「エネルギー燃焼」、カボチャはビタミンE、いぐさは葉酸がそれぞれ豊富。スプーンを食べることで栄養素も補えるアイデア商品だ。 新型コロナウイルス禍の2020年10月に発売し、環境意識の高まりからじわりと販路が拡大。埼玉県飯能市のテーマパーク「ムーミンバレーパーク」では、人気キャラクター「ニョロニョロ」が描かれた紙パッケージで販売している。この他、熊本県のスモモ「ハニーローザ」や、浜松市のメロンなど、各地の名産品を使った「ご当地パクーン」が次々と誕生。22年度は年間で約30万本を売り上げた。食育アイテムに変身 勤労食が運営を担う食堂は、工場や物流倉庫など、力仕事を要する職場が多い。栄養バランスのよい食事がとれるよう、管理栄養士が工夫を凝らしても、「とにかく早くおなかいっぱいになれるメニューが人気で、野菜はなかなか手に取ってもらえず、苦戦していた」。痛感したのは、大人になってから食習慣を変えるのは難しいという現実。「『野菜も食べましょう』といくら伝えても刺さらない。健康診断の結果が悪かった、病気を患ってしまったということがあって初めて振り向いてもらえる。長く健康で働ける人を増やすには、子供のうちから野菜に興味を持ってもらう必要があると思ったんです」(浜崎氏)自身も含め、社内に管理栄養士はたくさんいる。日ごろ不足しがちな栄養素を多く含む野菜を厳選し、イートレイの技術を使って、食べられるスプーンに加工するプロジェクトが始まった。 パウダー状にすれば、規格外の野菜でも余すことなく使用でき、フードロスも減らせる。子供たちに楽しく食べてもらうには、見た目がかわいく、選ぶ楽しさがあるほうがいい。そこで、色とりどりの5種類の味を用意することにした。スプーンとして必要十分な強度を確保するのも難題だった。パウダーを高温高圧で焼き固める際、使う原材料やその配合によって硬さは変わる。何度も試作を繰り返した結果、冷たいデザートも、カレーライスなど温かい料理も、ボロボロと崩れることなく食べきれるようになった。パクーンは5種20本入りで2360円(税込み、以下同)、50本入り5660円。1本当たり100円超だが、業務用としてまとめ買いすれば、その半額程度になる。それでもプラスチック製のスプーンに比べて圧倒的に高い。コロナ禍での発売だったことも相まって、当初はなかなか広まらなかったが、「食育の教材」になるという付加価値が評価され、共感の輪が広がっていった。22年6月には愛知県安城市役所で運営する食堂に、ウクライナから避難してきた一家を招き、郷土料理のボルシチを振る舞った。ボルシチはビーツを使ったスープで、デザートに添えてビーツ味のパクーンも提供。手に取った子供が「このスプーン、欲しい」とその場で何本も平らげた。浜崎氏はパクーンについて「単にプラスチックごみを減らせるだけではない。『国産野菜でできているんだね』と親子の会話の糸口になったらうれしい」と語る。野菜の生産者への感謝の気持ちもかみしめることで、優しい大人に育ってほしいという願いも込められている。.
おから、ビーツ、抹茶、カボチャ、いぐさ。国産野菜を原料に用い、丸ごとパクっと食べられる――。「PACOON(パクーン)」という名の、手のひらサイズのスプーンが、脱プラスチックの波に乗って脚光を浴びている。例えば、おからは、食物繊維がゴボウの2倍含まれるため「おなかの調子をサポート」、ビーツは栄養価が高い「スーパーフード」、抹茶は「エネルギー燃焼」、カボチャはビタミンE、いぐさは葉酸がそれぞれ豊富。スプーンを食べることで栄養素も補えるアイデア商品だ。 新型コロナウイルス禍の2020年10月に発売し、環境意識の高まりからじわりと販路が拡大。埼玉県飯能市のテーマパーク「ムーミンバレーパーク」では、人気キャラクター「ニョロニョロ」が描かれた紙パッケージで販売している。この他、熊本県のスモモ「ハニーローザ」や、浜松市のメロンなど、各地の名産品を使った「ご当地パクーン」が次々と誕生。22年度は年間で約30万本を売り上げた。食育アイテムに変身 勤労食が運営を担う食堂は、工場や物流倉庫など、力仕事を要する職場が多い。栄養バランスのよい食事がとれるよう、管理栄養士が工夫を凝らしても、「とにかく早くおなかいっぱいになれるメニューが人気で、野菜はなかなか手に取ってもらえず、苦戦していた」。痛感したのは、大人になってから食習慣を変えるのは難しいという現実。「『野菜も食べましょう』といくら伝えても刺さらない。健康診断の結果が悪かった、病気を患ってしまったということがあって初めて振り向いてもらえる。長く健康で働ける人を増やすには、子供のうちから野菜に興味を持ってもらう必要があると思ったんです」(浜崎氏)自身も含め、社内に管理栄養士はたくさんいる。日ごろ不足しがちな栄養素を多く含む野菜を厳選し、イートレイの技術を使って、食べられるスプーンに加工するプロジェクトが始まった。 パウダー状にすれば、規格外の野菜でも余すことなく使用でき、フードロスも減らせる。子供たちに楽しく食べてもらうには、見た目がかわいく、選ぶ楽しさがあるほうがいい。そこで、色とりどりの5種類の味を用意することにした。スプーンとして必要十分な強度を確保するのも難題だった。パウダーを高温高圧で焼き固める際、使う原材料やその配合によって硬さは変わる。何度も試作を繰り返した結果、冷たいデザートも、カレーライスなど温かい料理も、ボロボロと崩れることなく食べきれるようになった。パクーンは5種20本入りで2360円(税込み、以下同)、50本入り5660円。1本当たり100円超だが、業務用としてまとめ買いすれば、その半額程度になる。それでもプラスチック製のスプーンに比べて圧倒的に高い。コロナ禍での発売だったことも相まって、当初はなかなか広まらなかったが、「食育の教材」になるという付加価値が評価され、共感の輪が広がっていった。22年6月には愛知県安城市役所で運営する食堂に、ウクライナから避難してきた一家を招き、郷土料理のボルシチを振る舞った。ボルシチはビーツを使ったスープで、デザートに添えてビーツ味のパクーンも提供。手に取った子供が「このスプーン、欲しい」とその場で何本も平らげた。浜崎氏はパクーンについて「単にプラスチックごみを減らせるだけではない。『国産野菜でできているんだね』と親子の会話の糸口になったらうれしい」と語る。野菜の生産者への感謝の気持ちもかみしめることで、優しい大人に育ってほしいという願いも込められている。
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