首相の諮問機関、政府税制調査会で、「配偶者控除」の見直しを求める声が続出したという。
同額の所得を控除した場合、高所得者に適用される税率が高いことから、高所得者の負担軽減額は大きい一方で、低い税率が適用される低所得者の負担軽減額は高所得者より小さくなる。まして、課税最低限以下の低所得者は恩恵を受けない。ただし、税務と合わせて実施されるので追加的な事務コストはほとんどない。米国、ドイツでは、夫婦の所得を合算して2で割った金額で税率を適用し、算出した金額を2倍する「夫婦単位課税(二分二乗方式)」の選択制だ。そして英国には「婚姻控除」と呼ばれる制度がある。
日本で、税金や社会保険料の負担が変わる「年収の壁」が問題となるのも、こうした控除が原因の一つである。「壁」を超えると、一気に控除がなくなったり保険料を取ったりすることが問題なので、簡単な解決法は、「壁」を超えた給与の範囲内で、なくす控除額や保険料支出を設定することだ。 さらに「壁」の問題では、欧米のようなN分N乗方式の導入は一つの抜本的な解決法だ。これに、欧米で導入されている「タックスクレジット(給付付き税額控除=一定の所得のある人に税額控除、所得が低い人には還付を行う仕組み)」などの制度を組み合わせればいい。仮に今回の配偶者控除の見直しについて、従来の税負担を変えずに、N分N乗方式とタックスクレジットの組み合わせなどに移行するなら、一つの考え方だし、そのほうがスッキリするとも言える。筆者としては、制度の見直しは、欧米並みを目指すという方向であれば異存はないが、くれぐれも見直しに便乗した税負担増にならないようにしてもらいたい。(元内閣参事官・嘉悦大教授 高橋洋一)
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