デジタルを武器に建築界に新風を巻き起こす建築家の秋吉浩気さん。ですが、起業前には著名な連続起業家である孫泰三さんや、LIFULL社長(現会長)の井上高志さんから半年間にも及ぶ「スパーリングのような対話」を交わし続けたと言います。
「僕はとにかく、自分の研究や興味があることを喋った。でも、質問タイムであなたのビジネスモデルは?と問われ、咄嗟に『ビジネスモデルって何ですか?』と聞き返した。それでも、翌年のスラッシュのメインステージの設計・製作という大役を任された。
それから2年。2017年8月に北海道の南富良野で「Living Anywhere」のイベントが開かれた。廃校を12日間借り切った合宿形式。秋吉はコンパクトな3Dの木材加工機を持ち込み、現地で参加型の家具づくりワークショップを開いた。「瞳の奥に『何か世界を変えるようなことをしたい』というギラギラとしたエネルギーがマグマのように沸々と、しかし静かに溜まっているのを感じた。『ああ、こいつは何かを成すやつかもしれない』と」「Living...
孫の隣には、不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME'S(ライフルホームズ)」を運営するLIFULLの井上高志社長(現会長)もいた。孫の投資会社Mistletoe(ミスルトゥ)とLIFULL両社で1億円を投資することがその場で決まった。けれども実際にVUILDが実際その額を資金調達したのは、2018年の2月だった。前年11月に会社登記だけは済ませたが、合宿イベントからの半年間、秋吉は孫と井上と、「スパーリングみたいな対話」を重ねた。問われたのは、要はビジョンだったわけです。そこからロードマップを作るところまで壁打ちしてもらいながら半年で作りきりました」 「スパーリングみたいな対話」を経て資金の元手を手にし、ビジネスを展開していくなかで、2018年から「EMARF(エマーフ)」というクラウドサービスを始めた。スマホの操作一つで、思い描いたデザインで木材のプレカット発注ができる画期的な仕組みだ。
もう一つ、コロナ下の2022年に「NESTING(ネスティング)」という家づくりのための新たなプラットフォームを立ち上げた。「EMARF」を使ってあらかじめカットしたパーツを使い、今度は家までをお手軽にデザインできてしまうという、「デジタルな家づくりのサービス」だ。ところがやっぱり、ビジョンだけでは片付かない、実業ならではの難しさに直面する。秋吉が「リ・ブランディング」して家づくりサービスを軌道に乗せるまでの顛末は、最終回に譲る。:上智大学文学部卒業。ニュース週刊誌の編集に携わった後、フリーランスに。「AERA」の人物ルポ「現代の肖像」に執筆多数。著書に『「気づき」のがん患者学』(NHK出版新書)など。2024年科学ジャーナリスト賞優秀賞受賞。
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