米国において認知問題に関する初めてともいえる包括的調査が実施され、65歳以上の米国人の約10人に1人が認知症で、22%に軽度の認知障害の可能性があるという結果が出た →認知症スクリーニングを脈拍測定くらい簡単にするニューロトラック
が実施され、65歳以上の米国人の約10人に1人が認知症であり、22%に軽度の認知障害の可能性があるという結果が報告された。その数は年齢とともに増加し、米国の90歳代の35%が認知症患者だ。認知症やその原因となるアルツハイマー病など個別の病気に対する治療法は存在しないが、早期に発見できれば進行を遅らせる方法はある。医療保険のMedicare(メディケア)が毎年の健康診断で認知症スクリーニングを義務づけているのはそれが理由だ。
この種のスクリーニングの課題の1つは、医師のワークフローに組み込むことが困難な場合があることだとNeurotrack(ニューロトラック)の共同創業者・CEOであるエリー・キャプランはいう。それを解決しようとしているのが彼女の会社だ。同社は認知機能の健康に関する2つの重要な基準である処理速度(情報に対してどれだけ早く反応し処理できるか)、および実行機能(頭の回転の早さ、問題解決、その他の特性)のスクリーニングを行う3分間のデジタルテストを開発し、その他のバイタルサイン(血圧、心拍数など)の検査とともに健康診断に組み込めるようにした。「私たちは認知症検査が次のバイタルサイン項目になり、毎回の診察で実施されるようになることを願っています」
11月1日、同社は1000万ドル(約15億円)の投資ラウンドを完了し、認知テスト商品の市場開拓を加速することを発表した。この資金調達によって、同社の総調達額は5700万ドル(約86億円)になった。出資したのはJohnson & Johnson Innovation、Founders Fund、Khosla VenturesおよびSalesforceの共同創業者であるマーク・ベニオフらとなる。 キャプランは2012年、神経科学者のスチュアート・ゾラ、エリザベス・バッファロー、セシリア・マンサナレスらとともにNeurotackを創業した。彼女を触発したのは自身の体験だった。祖父母のうち2人がアルツハイマー病と診断されたことだ。彼女はその初期診断結果だけでなく、この病気に苦しむ人たちが必要なケアを受けることの難しさにショックを受けた。キャプランは医者の家系で育ち、医療制度をよく知る家族にとっても適切なケアを受けることが困難であるなら、一般の人にとってははるかに困難であることに気づいた。「私にとって非常に思い入れのある仕事です」と彼女はいう。「この問題に本格的に取り組めるようになるまで、休むわけにはいきません」
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