大津市で保護司の60代男性が自宅で殺害されているのが見つかった。滋賀県警は8日、過去の事件で有罪判決を受けて保護観察中だった男を殺人容疑で逮捕し、調べを進めている。
亡くなった男性は男の立ち直り支援を担当しており、保護司の活動に対して不安が広がらないか影響が懸念される。事件の全容解明が急がれる。同時に、保護司の安全確保策が十分に取られていたのかについても検証が求められる。
法務省は事件を受け、保護司が担当する案件でトラブルがないか全国の保護観察所に聞き取りを指示した。小泉龍司法相は11日の記者会見で「安心して活動できる環境へと見直し、整備をしていくことが当面の重要な課題だ」と述べた。迅速に現状を把握し、安全確保に努めなければならない。 保護司は報酬のない民間ボランティアで、法相から委嘱される非常勤国家公務員。公務員である保護観察官と連携し、犯罪や非行をした人が社会で立ち直れるよう支える役割を担う。会社員や教員、宗教家など全国で4万6千人余りが就いている。 保護観察対象者とは月2~3回程度の面接を行い、観察中の約束事や生活の指針を守るよう指導。就労の援助や悩み事への相談にも応じる。刑務所や少年院から地域社会に戻る人に対しては、住居や就業先の調整などに当たる。
秋田保護観察所によると、本県では保護司683人(今月1日時点)が活動。事案に応じてペアを組んで保護観察対象者の面接に当たることもある。経験が浅い保護司の場合もベテランと一緒に対応している。面接は自宅に招いたり、対象者宅を訪問したりしているほか、県内12地区の更生保護サポートセンターも活用しているという。法務省の有識者検討会は昨年からなり手の確保策を議論。今年3月に公表した中間取りまとめでは、新任を原則66歳以下に限るとした保護司の年齢制限を2025年度にも撤廃するとした。現在は保護司会などの推薦制だが、公募を試行し、幅広い層の受け入れを目指す。一方、保護司の活動は安全に臨める環境があってこそだ。面接場所や対応人数、支援方法は現状のままで大丈夫なのか。今回の事件の背景なども分析し、環境の点検を進めたい。
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