発達障害の特性がある労働者は、平均年収が200万円台で昇給もあまりなく、自立しにくい、将来も不安という現状を取材しました。
2月上旬、「発達障害就労者の親の会」が東京・杉並区に申し入れを行い、発達障害の特性がある人が企業などの障害者枠で働く場合、何年たっても年収が200万円台といった実情があるとして、自治体による経済的支援を検討してほしいと訴えました。
具体的には、障害者枠での就労に必要な障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)の更新のため、2年に1度、精神科で診断書を取得する際の代金約1万円(注:医療機関によって異なる)への補助を求めました。(東京都内の一部の自治体では、この費用を一部補助しています。)「親の会」のメンバーは「我々のこどもたちは、知的にはほぼ遅れはなく、多くは大学を卒業していて、まじめに働き、納税もしています。仕事に就いているからこそ、障害年金を受給できないことがほとんどです。何年たっても非正規雇用のままという場合もあるほか、正社員になっても昇給がわずか。経済的自立ができずに親と同居し、世帯を一緒にしているため、コロナや物価高騰の支援金なども受給できません。親は、子の将来をいつまでも心配し、できるだけ長く働いて死ぬまで経済的に子を支援し続けなくてはならないのかという不安と、日々戦っています」と訴えました。男性(30歳)は自閉スペクトラム症(ASD)の診断を受け、人とのコミュニケーションが苦手ですが、知的な遅れはなく、大学卒業後、1回の転職を経て、この4年間、大手企業の特例子会社の障害者枠の正社員として事務の仕事をしていま
月給約17万円(手取りは約15万円)とボーナス(夏冬ひと月分ずつ)で、年収は税込約242万円。昇給はほとんどないと言います。実家暮らしですが、両親と話し合い、食費、光熱費、家賃分として約6万円を両親に渡し、1万円を個人年金、2万円ほどをiDeCoの掛け金に回すと、残りは5~6万円。その中から、昼食代や洋服や趣味のライブに行く費用を出しています。 男性は「以前は非正規の契約社員で、(今は)解雇・契約打ち切りの心配なく働けるのは安心ですが、やはり給与はもう少し上がってほしい」「2年に一度とはいえ、障害者手帳の更新に必要な診断書の費用が自己負担なのはとにかく厳しい」と話します。発達障害者の就労を支援する株式会社Kaienが筑波大学の佐々木銀河准教授との共同研究として、2022年から2023年にかけて行った調査では、発達障害の診断や傾向がある18歳以上の人、約1100人からの回答を集計した結果、障害者枠で働く場合の年収は平均258万3500円、一般枠では平均346万4700円だったということです。一方、国税庁によると2023年、日本の給与所得者の平均給与は460万円です。上記の調査を行った筑波大学佐々木銀河准教授はこうコメントします。
「まず、収入の低さに関して、業務能力と紐付けて議論されることもあるかと思います。障害の有無にかかわらず、雇用主の方針や、職種、業務内容等のさまざまな違いにより給与体系が決められているかと思います。しかし、障害者であることを理由に給与体系を分けている、ないしは、賃金を低く設定しているとしたら、それは障害者雇用促進法を踏まえると、不当な差別的取扱いです。また、障害者求人枠は、職種や業務内容が限定されている場合が、一般採用枠と比べて多く、雇用主側において障害者にできることを狭く考えている可能性も懸念されます。職種や業務内容を限定することが、賃金の低さとも関係すると考えられますので、さまざまな障害者がいることを念頭に、障害者求人枠における職種や業務範囲の拡張が期待されます」■彼らが働き続けていることへの後押しをして欲しいさらに「発達障害というと、いわゆる”ギフテッド”といった、ある分野に優れた能力がある子を思い浮かべるかもしれませんが、そのような子ばかりではない。人と関わるのが苦手で、生きづらさを抱えているが、それが外からは見えにくい。自助努力しろといわれるが、彼らはまじめにコツコツ努力してい
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