ジャーナリスト、元NHK解説委員(ジェンダー・男女共同参画担当) 愛知県出身。名古屋大学大学院国際開発研究科修士課程修了後、記者としてNHK入局。金沢放送局、社会部、World News部を経て、名古屋放送局デスク、2021年からはジェンダー・男女共同参画担当の解説委員を兼務し、2024年9月に独立。 身の回りのジェンダー問題や子ども、若者、教育の問題を中心に取材し発信。 東京大学大学院情報学環客員研究員。2009年Asia Societyより、アジアの若手リーダー「Asia21フェロー」に選ばれる。共著に『足をどかしてくれませんか メディアは女たちの声を届けているか』『いいね!ボタンを押す前に...
「男女雇用機会均等法」が施行されたタイミングで「第3号被保険者」制度も作られました。仕事で頑張る人は頑張ってください、平等ですよ、でも、夫の働きを支える人たちにはこういう特典がありますよと。「年収の壁」の中で働くとこんなメリットがありますと、当時多くの雑誌などでも特集が組まれ、刷り込まれてきたと思います。その人たちが人生を選ぶ上において必要な選択肢を用意するということ。発信し続けることで、意識改革、30年かかって築き上げてきた意識を、また30年かかっても変えなくてはいけないのかもしれないと思います。――官邸の中に矢田さんが入って1年。女性の賃金が上がらない大きな要因の一つは管理職、意思決定層に女性がいないことですよね。政治の世界の男女の格差も著しいですし、同じように官邸の中でも、補佐官として現在唯一の女性が矢田さんです。今回、矢田さんが官邸に入った意義はやはり大きかったでしょうか?そうですね。私は企業で人事担当もやりましたし、組合でも、政治家としても、少しずつステージを変えて、女性がもっと社会で活躍するために一貫して同じことをやってきたと思っています。
でも、官邸に入ったからこそ、全部の業界に網をかけて、説得力のあるデータを公開しながら地域にも働きかけていける。だから、このポジションに私というより女性活躍の専門家の方が入っていくということは大事なことだとつくづく思いますよ。しかし、私としては誰かに引き継ぎたい、大切なことなんだということは明確な意志として表明しています。行政側のメンバーにもそれは訴えています。その上で、大切なのは世論です。世論が高まれば政治も継続せざるを得ない。だからメディアにももっともっと報じてもらいたいと思います。経済の面から考える上で、これは「女性のための」問題というだけではないんですと繰り返しお伝えしてきました。日本経済全体のこと、日本のこの国のありようそのものを今論じているんだと。【今回の「時代のKポイント」は…「年収の壁」】
「年収の壁」は1985年「男女雇用機会均等法」と同時に創設された「第3号被保険者制度」によって生じた。一定の収入がない、会社員の夫に扶養されている妻などは、社会保険料を負担しなくても年金が受け取れる仕組みで、導入当時から賛否あったが、厚生省には、男女雇用機会均等の進展によって、将来的には意味のないものになりうるとの認識があり、「当面の対応策」として導入された側面があるという。しかし、その予想に反し、この制度が『眠れる森の美女』の魔女の呪いのように、30年以上にわたって「男は仕事、女は家庭」という性別役割分業意識を温存し、「女性は結婚後は夫の扶養『年収の壁』内で働いた方が得」と、女性の生き方、働き方に影響を与え、男女平等の実現を眠らせてきたのは皮肉としか言いようがない。
今回の総裁選でも「年収の壁」の撤廃や見直しが争点となった。議論が起きるたび「専業主婦いじめ」との批判が出るが、その影響は、専業主婦にとどまらない。「年収の壁」の存在により、賃金が上がると労働時間を短くする「就業調整」が起き、これが人手不足や、賃上げの抑制につながり、非正規雇用者の貧困につながっているという指摘もある。この問題は、矢田総理補佐官も言う通り、女性だけの問題ではなく、日本の問題として捉えることがポイント!ジェンダー・男女共同参画担当のNHK解説委員を務めたジャーナリストの山本恵子が、キーパーソンにインタビューし、注目すべきポイントを解説。ジェンダー平等を目指す社会でここが変化の局面(K点、Kポイント)になりそうだという現在の動きを取り上げます。
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