巨人・桑田真澄２軍監督（５６）がファームの現状を伝えるコラム「桑田の眼」。第５回は酷暑の７、８月に選手の状態を保つために取り入れた手法を解説。また先発で開幕７連敗を喫した赤星優志投手（２５）や、２軍
投手陣に求める「勝てる投手」になるために必要な能力について明かした。８月はナイターも１０試合ほど組まれており、連戦や移動試合など、コンディション調整が難しい日程となっています。そこでデーゲームでは選手たちを試合の前半に出場する組と後半組に分けて、酷暑を乗り切ろうとしています。熱中症対策としてフル出場を避けたこの形では、ほぼ全ての選手が出場するため、ベンチ全体の集中力はむしろ増しているように思います。
個別の選手では、赤星が勝てる投手になるための課題と向き合っています。投手陣全体に言えることですが、まず理解してもらいたいのは、投手とは野手に守ってもらい、点を取ってもらわないと勝てないということ。特に赤星のようなタイプはテンポ良く投げ、けん制や守備でもアウトを取り、ピンチを迎えても粘り強く乗り切って、打線の援護を待たないといけません。赤星は個々の球をみると１軍で通用する球を持っていますが、勝てる投手に成長するためには野球脳と、ボール１個分の出し入れで勝負ができる真のコントロールを磨く必要があります。 先発投手が球威で抑えられるのは１、２巡目までです。プロの打者は投手の軌道にすぐ対応してくるので、目が慣れた３巡目以降はコントロールを駆使した投球術が求められます。打者の特徴や試合の流れを読むことができれば、より簡単にカウントを稼ぐことができます。打者を早めに追い込めば、余裕をもって勝負ができるでしょう。投手優位の状況を作り出すことで勝ち星は自然と付いてきます。先週、赤星は昇格しましたが、武器となる制球力を身につける努力と工夫を続けてほしいと思っています。
野手陣は、７月からのテーマとして追い込まれてからバットを短く持って対応することを続けています。チーム打率と出塁率はもちろん、得点や長打率などの数値も上がり、効果をチーム全体で実感しています。次のステップはバントやエンドラン、進塁打などのサインプレーの成功率を上げることです。まだ失敗が多いですが、若い選手には失敗をしながらプロのスピードやプレッシャーに適応してほしいと考えています。失敗を成功体験に変えてこそ、技術と自信が身につきます。２軍首脳陣とスタッフは辛抱強く、選手が成長するプロセスを支えていくつもりです。（巨人２軍監督）
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