日産自動車とホンダは、予定していた経営統合協議を破談しました。両社は昨年12月に協議入りを発表しましたが、最終的に合意に至ることができず、統合は見送られました。協議の破談は、両社の社風やプライドといった要素が経済合理性よりも優先された結果と指摘されています。自動運転技術や電気自動車（EV）などの新興メーカーの台頭により、自動車業界は激しい競争にさらされており、両社の今後の展望は不透明となっています。
企業が自らの責任で自らの将来を決めるのは当然の権利だが、今回の見送りによって両社がスケールメリットを手にし損ねたのは事実だ。「１００年に１度の大変革期」とされる自動車業界にあって、先行きの不透明感がさらに増した。両社は昨年１２月に経営統合協議入りを発表した。日産と企業連合を組む三菱自動車も含めると、統合後の総販売台数は８００万台を超え、トヨタ自動車グループ、フォルクスワーゲングループに次ぐ世界３位のグループになる見通しだった。電気自動車（ＥＶ）が普及し、自動運転技術が進展する中、米国のテスラや中国の比亜迪（ＢＹＤ）など新興メーカーが台頭。日本勢は競争力を高めるため、ＥＶや自動運転向けソフトウエア開発への巨額投資などに迫られている。
特に日産は苦しい立場にある。販売競争で後れを取り、業績が大きく悪化。昨年１１月には９千人の人員削減などの合理化策も発表していた。このため、経営統合は日産救済策の性格が強いとも指摘され、実際、新設する方針だった持ち株会社の役員人事などは、ホンダ主導が決まっていた。 協議の打ち切りは、日産の示した合理化策に不満を持ったホンダが、より強力に改革を進めるため、当初想定した持ち株会社ではなく日産の子会社化案を打診。これに「ホンダと対等」を掲げていた日産が反発した結果だとされる。 もともと業界では「技術開発を重視する職人肌のホンダ」と「官僚気質が抜けない日産」などと社風の違いが指摘され、協議難航を予想する声があったという。破談の責任を一方のみに問うのは難しいが、社風やプライドといった要素が経済合理性より優先されたということはないのだろうか。懸念するのは両社の今後だ。自動車市場の激しい競争環境は変わらず、巨額が必要な開発費の捻出なども課題になる。単独で生き残るハードルは高くなっている。
Automotive Industry Merger Nissan Honda Competition Future Outlook
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