昭和33年にビジネス特急として東京-大阪間を結んだ「こだま」が登場して以来、国鉄の特急型先頭車の前面を飾った逆三角形のシンボルマークが一線から姿を消す。岡山-…
昭和33年にビジネス特急として東京-大阪・神戸間を結んだ「こだま」が登場して以来、国鉄の特急型先頭車の前面を飾った逆三角形のシンボルマークが一線から姿を消す。岡山-出雲市間を走る「やくも」が6月にすべて新型車両に置き換わり、国鉄型の381系が定期運用から外れるからだ。マークのデザインは公募され、当選したのは当時、高校を出て大阪の会社に就職したばかりだった辻本デザイン事務所(大阪市中央区)代表取締役の辻本達廣(さとひろ)さん(85)。「長い間、日本の特急の先頭につけてもらったことは、私の人生の宝物」と話している。国鉄初の特急型電車として開発され、「こだま」に使用された151系(登場時は20系)は高性能でボンネットスタイルという斬新なフォルム。新時代を象徴する車両にふさわしいシンボルマークをつけることになった。列車愛称とともに同年4月ごろ、募集のポスターを各駅に張り出したところ、愛称は9万点超、マークは5537点の応募があった。審査の結果、愛称は「こだま」、マークは辻本さんの作品が選ばれた。
6月下旬に当選を伝えられた辻本さんは「びっくりした。えらいことになった」。デザインについては「速さを売りにする特急。当時あった丸や四角でなく、ぱっと飛び立つようなスピード感を表現しました」。金と銀の色を使ったのは「車体の色に関係なく輝くから」と説明する。 高校を卒業し、三重県上野市(現伊賀市)から、実家の看板・塗装店を継ぐため、大阪の会社に「修業」で入社したばかりのときだった。月給6千円のところ、当選賞金5万円と会社からご褒美として3万円が入った。「高い物を買った覚えはありません。食べるのもやっと。普通に生活費になったのでは」。これをきっかけにデザインの道を歩み始め、26歳で大阪市内に事務所を立ち上げた。現在はホテルチェーン大手の「アパホテル」のデザイン監修を担当している。
シンボルマークは「こだま」だけでなく、485系、583系、キハ82系など、その後に登場するすべての特急型電車、気動車につけられた。「仕事で北陸へ『雷鳥』に乗って行くときなど、感慨深かったですね」と振り返る。しかし、国鉄からJRに移行した62年以降、マークのない特急用車両がJR各社で登場し、マークのついた国鉄型車両は廃車が進んだ。現在ではJR東日本にイベント列車や臨時列車用として185系、JR西日本に「やくも」用の381系が残るのみ。「やくも」は新型の273系への置き換えが進み、381系は6月15日をもって定期運用から外れる。今後は臨時列車などで使われる見込みだ。 60年以上にわたって特急の先頭で輝いたシンボルマーク。辻本さんは「少なくなっていくのは寂しいですが、こんなに長く、列車のシンボルマークとして使われたのは世界的にも少ないと聞きました」。自らの宝物にそっと目をやった。(鮫島敬三)
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