元覆面レスラーの不死鳥カラス（本名・石倉康晴）さん（５４）は１９９７年に大仁田厚の芸能面のマネジャーに就任。０１年の大仁田の参院選出馬と同時に身を引くまで１年３６５日のほぼすべてを「邪道」とともに過
９９年１・４東京ドームでの佐々木健介戦の花道でタバコをくわえた大仁田が客席に投げ込んだジッポもカラスさんの私物。「結構、大事にしていた物だったけど戻って来なかったです。あれはひどい…」と、その時だけは嘆いた。
大仁田劇場初戦から「潰されちゃうんじゃないか？ 健介に完全に潰されると思ってました」と心底、心配したが、佐々木の顔面への火炎噴射で反則負けを喫し、ボロボロで戻ってきた「邪道」は笑顔で「どうだった？ カッコ良かったか？」とだけ聞いてきた。その後、蝶野正洋戦、グレート・ムタ戦、そして、最終決戦の長州力戦と、１年８か月にわたった「大仁田劇場」を時にはリングサイドで、時には花道の下で大型灰皿を構え、大仁田が落としたタバコの灰を拾いながら見守った。たった１人でのトップ団体・新日との戦いを「結局、大仁田さんを一度、リングに上げてしまったら終わりなんです。新日が引っ込みがつかない状態、逃げられない状態に大仁田さんがしていった。やりたい放題やっただけですよ。負けても『次は誰だ！？』ってやるわけですから。長州が出てくるまでやめないわけですから」と振り返った。
「試合の勝ち負けじゃなくて、結局、大仁田さんの存在感が凌駕（りょうが）してしまった。最終的に大仁田さんの勝ちでしょ。だって、（９８年５月５日の）２度目の引退がピークだと思っていたら、大仁田劇場でプロレスラーとしての最大のピークをもう一度、作り上げてしまったわけですから」―。「だって、リングの中だけじゃなくて、真鍋（由テレビ朝日アナウンサー）さん（とのやり取り）のこともなんの計算もなくてやって、笑いも起きて。大仁田さんは大仁田劇場を通じて、リングの中の闘いだけじゃなくて、全部を含めて、精一杯、プロレスラーしたんじゃないですか？ 色々言う人間はいるかも知れないけど、やっぱり、すごいですよ」と称賛した。
カラスさん自身はマネジャーから１９５０年創業の東京・浅草の製麺所「開花楼」で製麺師に転身。現在では、全国の人気ラーメン店に自身の作った麵が引っ張りだこ状態の日本一の製麺師となり、各マスコミにも数多く取り上げられる立場になった。「自分の人生も大仁田さんの側にいた人間として、世間に負けるわけにはいかないと思って、やってきました。俺は俺で大仁田さんの“弟”として頑張っているって言いたい」と言い切ると、「自分が作る麵が今、なぜ成功しているか、はっきりと分かります。大仁田さんがゼロからのし上がる姿を見て、どうやったらのし上がれるかを俺が知っているからです。どうやったら成功するか分かってます。大仁田さんのようにとりあえず大ボラを吹いて、言ったらやるで、有言実行すればいいだけなんです」と胸を張って続けた。「今も心酔して、熱狂しているファンがいる。それがすべての答えじゃないですか？...
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