岡山学芸館・GK平塚仁の神セーブで初の決勝進出 相手キッカー・福田封じに「体のどこかに当てようと思った」」 サッカー soccer football
自信があった。３―３で突入したＰＫ戦。岡山学芸館ＧＫ平塚は、神村学園の３人目のキッカーＦＷ福田を“威嚇”するように、両手を大きく広げて一声を発した。「性格や助走を見ても、力強いシュートを打ってくる。蹴る最後までボールを見て、体のどこかに当てようと思った」。その読みは的中。左へ跳びつつ、体を宙に浮かせて真ん中に残した右足で福田のシュートをはじいてゴールを守った。チームメートは４人全員が決め、熱戦を制した。
何が何でも止めたかった。前半６分に幸先良く先制するも、同３８分に平塚がはじいたこぼれ球を福田に決められるなど、９０分間で３失点を喫した。ＰＫ戦は今大会２度目。だが、試合前日以外は、ほぼ毎日ＰＫ練習の時間を設ける。２日の３回戦・国学院久我山戦では、１人目に蹴ったエースＦＷ塩貝健人のシュートをストップ。「チームを楽にさせるためにも、絶対に止めてやろうと思った」と仲間が決めたこの日の３得点を無駄にしたくなかった。試合中から相手の調子を観察し、心理状態を予測。最後は「勘が大きい」と自負するボール軌道の“嗅覚”を信じた。堂々として相手に余裕を見せて、圧を与えることを学んだ」。大一番にも動じない冷静さが身についた。小学校途中まではゴルフとサッカーを両立。サッカーよりはるかに小さなボールを扱うことで「空間認知能力、距離感をつかむことは、今に生きていると思う」と感じる。試合前の５日には、父から電話で「（国立の）スタジアムの空気にのまれないように頑張れ」とエールを受け、この一戦への思いはますます強くなった。
過去最高成績は１８年度の１６強。歴史を次々と塗り替えての決勝戦へ、高原良明監督（４３）は「支えてくれた方への感謝を持って戦ってほしい」と話し、平塚は「次こそは無失点で必ず優勝したい」。県勢初の優勝まで、あと１勝だ。（小又 風花）
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