シンクタンクのアジア太平洋研究所(APIR、大阪市)は6日、2023年版の「関西経済白書」を発表した。25年国際博覧会(大阪・関西万博)の会期中に周辺地域が積極的にイベントなどを展開すれば、日帰り客や宿泊数が増加して経済波及効果が5000億円上振れるとの試算をまとめた。22年版白書では同様の想定で経済波及効果が約3900億円上振れるとしたが、23年版は消費単価などを最新の数値に改め、日帰り客の
シンクタンクのアジア太平洋研究所(APIR、大阪市)は6日、2023年版の「関西経済白書」を発表した。25年国際博覧会(大阪・関西万博)の会期中に周辺地域が積極的にイベントなどを展開すれば、日帰り客や宿泊数が増加して経済波及効果が5000億円上振れるとの試算をまとめた。日本国際博覧会協会(万博協会)は万博の来場者数を約2820万人と想定している。APIRは万博協会の想定来場者数を前提に、万博会場の周辺地域でものづくりの現場を体験する「オープンファクトリー」など様々なイベントが開催されるケースを「拡張万博」と定義して試算した。
拡張万博の場合、国内客の宿泊数は基準ケースの1泊2日から2泊3日、インバウンド(訪日外国人)は3泊4日から5泊6日にそれぞれ増加。拡張万博の高位シナリオの場合はさらに国内の日帰り客が2割増えると想定した。 経済波及効果を示す生産誘発額は基準ケースが2兆3759億円に対し、拡張万博では2兆7875億円になると試算。高位シナリオでは2兆8818億円と基準ケースよりも5059億円上振れた。来場者の消費支出は拡張万博の高位シナリオが基準ケースを約3割上回る結果となった。 拡張万博の高位シナリオでは、会場となる大阪以外の地域の経済効果は1兆844億円と、基準ケース(6052億円)より約8割増える。APIRの稲田義久氏は「延泊と宿泊客の増加は各府県への経済効果をさらに高める」と強調。「大阪だけでなく周辺地域全体で万博を盛り上げることが重要だ」と訴えた。
観光客を周遊させるためには、観光の広域化や高付加価値化も重要になる。兵庫県と京都府の北部を中心に巡る観光ルートを前提に、高級ホテルに泊まるなどの高単価ケースと基準ケースとを比較すると、高単価ケースの経済効果は基準ケースの2.5倍にのぼるとの試算もまとめた。原発が稼働していた九州(2万2795円)や四国(2万2938円)などでも負担は小さくなった。APIRの稲田氏は「恒常的に光熱費の負担に地域差が生じるのであれば、安い地域に移ろうという動きが起きてもおかしくはない」との見方を示す。
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